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2008年01月05日

睡眠が足りていないと糖尿病の危険が高くなる

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 熟睡できない日が続くと2型糖尿病のリスクが増すという研究が、米シカゴ大学医療センターの研究者らによって発表された。この研究は米科学アカデミー紀要の電子版に掲載された。

 糖尿病の大部分を占める2型糖尿病は、加齢のほか生活習慣が誘因となって発病することが多い。食事や運動に加え、質の良い睡眠をとることも大切で、睡眠時間が足りていない人では肥満や高血圧が増え、インスリン抵抗性が強まり血糖を適切に維持する能力(耐糖能)が低下する。

 研究では、20〜31歳の健康な男女9人を対象に、眠りの質と耐糖能の関連を調べた。実験室で8.5時間ほど眠ってもらい脳波を測定した。

 睡眠は大きく分けて、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類がある。ノンレム睡眠とレム睡眠はセットになり、1晩に4〜5回くり返すのが一般的。入眠してからしだいに睡眠が深くなっていくとあらわれるのがノンレム睡眠。ノンレム睡眠はからだの疲労回復に大切な役割を果たしており、睡眠の質に関わっている。

 眠りの深さは4段階に分けられる。徐波睡眠(SWS)と呼ばれる睡眠は1日の中でもっとも深い眠りで、このときに成長ホルモンの分泌が多いことがわかっている。研究では対象者に徐波睡眠を示す脳波が出はじめたら、目覚めるほどの音量ではないものの眠りを妨げる程度の騒音をベッドわきのスピーカーから出し睡眠を妨げた。深い眠りの中断は1晩に平均250〜300回あり、3日にわたる実験で徐波睡眠を90%減らした。

 研究者は数分おきに、静脈内にグルコースを投与し血糖値とインスリンのレベルを測定するために血液を採取した。3日間で耐糖能は実験前に比べ、平均で25%ほど下がり、血糖値を正常に保つためにより多くのインスリンが必要となった。耐糖能異常のある高齢者に置き換えると、血糖値が23%高くなる計算になるという。

 研究者は「徐波睡眠が少なくなると、インスリン感受性と耐糖能に悪い影響が出てくる。睡眠の質を高めることが、糖尿病対策になる可能性がある」と述べている。

 徐波睡眠の時間は歳をとるにつれ減っていき「若い人では1晩に80〜100分ぐらいだが、60歳を超えると20分未満に減る」という。特に年齢の若い人たちでは徐波睡眠を十分にとれていない傾向があるので、年齢が上がると2型糖尿病の発症リスクが高くなるおそれがある。

シカゴ大学医療センター(リリース、英文)

関連情報
睡眠を改善するための対策(糖尿病NET)
睡眠時間が短いと高血糖と耐糖能異常が起こりやすい(糖尿病NET)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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