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2007年11月12日
手の平に収まる小型の吸入インスリンを開発中
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インスリン治療をはじめるときに、インスリン自己注射に抵抗感を感じる患者は少なくない。注射を必要としない新しいインスリン治療の開発が進められている。
インスリン治療をはじめるとき患者は不安になる
インスリン治療は、1型糖尿病だけでなく、2型糖尿病にも広く受け入れられている。また、新しいインスリン製剤や注射器具が開発され、インスリン治療を取り巻く環境の改善が続けられている。
日本イーライリリーが、今年10月に30代以上の糖尿病の男女400名を対象にインターネットで行ったアンケート調査によると、実際にインスリン治療をはじめた患者の大半は、治療の成果を得られるとインスリン治療について前向きの認識をもつようになる。
しかし一方で、インスリン治療を行っていない患者への「主治医からインスリン治療を勧められたときにどうするか」という質問では、58.1%が「すぐに治療を開始しない」と回答しており、インスリン治療を開始するときの不安感も根強いことが示された。
インスリン治療を行っていない患者の治療に対する感じ方としてもっとも多かったのは、「インスリン注射をするのは複雑で面倒だ」(51.8%)だった。
次いで「インスリン治療を開始すると一生やめられない」(36.5%)、「インスリン注射をすることになったら糖尿病は末期だ」(32.2%)、「インスリン治療のために社会的なつきあいや活動が制限される」(26.7%)と続いた。
開発中の吸入型インスリンと吸入器
吸入型インスリンは、注射によりインスリンを投与する代わりに肺からインスリンを吸入するという方法で、数社の製薬会社が開発を進めている。
米イーライリリー・アンド・カンパ二ーとアルカミーズ社は、アルカミーズ社のAIRという肺ドラッグ・デリバリー技術をもとに、インスリン吸入用粉末の吸入を可能にするインスリン・システムを開発した。
この吸入型インスリンに使われる新開発の器具は、手の平に収まるほど小型で扱いやすいという。
吸入型インスリンの有効性を調べる臨床研究が進められており、海外ではインスリン注射と同等の血糖コントロールを得られたという報告も発表された。*
同社の調査では、インスリン治療を行っていない患者であっても、注射を必要としない「吸入型インスリン」であれば、「前向きに検討するかもしれない」と考えていることが浮き彫りになった。
インスリン治療を勧められているにもかかわらず治療をはじめていない患者のグループ(33名)と、将来的に主治医からインスリンを勧められても「経口治療薬の用量の増量などを主治医と相談する」「インスリン治療はしないと断る」と回答したグループ(93名)に分け答えてもらった。
「もし吸入型インスリンによる治療が可能であれば」という条件付けをして、インスリン治療をはじめることについて意向を聞いたところ、前者グループの79%、後者グループの34%が「吸入型インスリンであればインスリン治療を前向きに検討するかもしれない」と回答した。
さらに、すでにインスリン治療中の患者に尋ねたところ、74%が吸入型インスリンを「使ってみたい」と答えたという。
米イーライリリー・アンド・カンパ二ーとアルカミーズ社は、アルカミーズ社のAIRという肺ドラッグ・デリバリー技術をもとに、インスリン吸入用粉末の吸入を可能にするインスリン・システムを開発した。
この吸入型インスリンに使われる新開発の器具は、手の平に収まるほど小型で扱いやすいという。
吸入型インスリンの有効性を調べる臨床研究が進められており、海外ではインスリン注射と同等の血糖コントロールを得られたという報告も発表された。*
*2007年11月時点の情報を掲載しています。
詳しくは日本イーライリリー(株)のサイトへDiabetes.co.jp(日本イーライリリーの患者さん向けサイト)
この記事は、日本イーライリリーが2007年10月31日付で発表したプレスリリースを元にしています。
関連ページ吸入インスリンについて(いま1型糖尿病は)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所