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2007年11月09日

ジェネリック医薬品(後発薬)を原則に 厚労省

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 先発医薬品と同じ成分・効果がありながら価格が安い後発(ジェネリック)医薬品の普及を促すため、厚生労働省は医療機関での処方せんの様式を変更し、後発品のある医薬品ではなるべく後発品を使用することを原則とする方針を決めた。

 医薬品には製薬会社が巨額の研究費を使い開発した先発医薬品と、20年から25年の特許が切れて、他の製薬会社が同じ有効成分で製造した後発(ジェネリック)医薬品がある。

 後発品は研究費がかからないので、価格は先発品の2割から8割と安い。後発品が普及すれば医療費を抑えることができる。欧米では後発品の普及が進んでおり、数量ベースで市場シェアが60%に上る国もある。

 厚労省の2006年の調査では日本でのシェアは17%程度で、欧米に差をつけられている。政府は2012年度までにシェアを30%以上に引き上げる方針を掲げ、後発品を広めようとしてきたが、期待通りの成果を得られていない。

 2006年に処方せん様式の変更が行われ、医師が後発品へ変更しても良いと判断し、後発品にチェックを入れた処方せんを薬剤師が受けとった場合に、患者の同意を得て後発品を選び調剤できるようになった。しかし厚労省の調査では、実際に後発品に変更したのは8.2%に過ぎなかった。

 後発品の普及に向けたより実効のある対策が必要と考えられている。政府は後発品の安定供給、品質管理、後発品についての情報提供などを強化する対策を掲げている。また、厚労省の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は、後発薬のある医薬品ではなるべく後発薬を使用するよう処方せんの様式を変更する方針を了承した。次の診療報酬改定で導入する。

 今月7日に開催された中医協・診療報酬改定結果検証部会では、医療機関や医師を対象とした後発品についての意識調査の結果が発表された。それによると、7割以上医療機関が後発品を扱っているが、半数以上の薬局が、チェックのある処方せんを受けとったときに患者に後発品の説明をした割合は「30%未満」と回答しており、後発薬の説明を積極的に行っていない現状が浮き彫りになった。

 また、後発品の説明を受けたときに、後発品を希望しない患者も少なくない。後発品を拒んだ理由として「自己負担額の差額が小さい」「後発品に対する不安がある」と答えた人がそれぞれ3割を超えていた。

中央社会保険医療協議会 第15回診療報酬改定結果検証部会(厚生労働省)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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