ニュース
2007年06月29日
降圧薬で高血圧を治療し糖尿病性腎症の進行を抑える
- キーワード
日本ベーリンガーインゲルハイムは、同社が開発した降圧薬「ミカルディス」(一般名:サルタン)による臨床試験「AMADEO」の結果を発表した。糖尿病性腎症を合併する高血圧症患者で、ミカルディスは蛋白尿を減少させることを確かめたという。この試験結果について欧州高血圧学会(ESH)で発表した。
高血圧は糖尿病とともに心筋梗塞などの心疾患や脳梗塞を引き起こす要因となる。また高血圧は糖尿病性腎症を進展させる要因としても重要。糖尿病患者では、高血圧の治療を十分に行うことが必要となる。
ミカルディスは、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のひとつで、日米欧を含む84カ国以上で高血圧の治療に使われている。持続性があるので1日1回の服用で効果を得られる。今回の試験には、10カ国124施設で2型糖尿病で顕性腎症を合併する高血圧症(130/80mmHg)患者860名が参加した。
糖尿病性腎症を合併する高血圧症患者で、2種類のARBの腎保護効果を比較した。ミカルディス80mgを服用する群と、他のARB薬を服用する群に分け、治療効果を確かめた。両群とも必要に応じてARB以外の降圧薬(利尿薬またはカルシウム拮抗薬)の追加投与が認められた。
1年間後に糖尿病性腎症を治療するうえで主要な評価項目となる蛋白尿の減少について調べたところ、両群ともに有意に減少させることがわかった。その減少率は他のARB薬が20%だったのに対し、ミカルディスでは29%だった。血圧のコントロールなどについては差がなかった。このことによりミカルディスが有意に蛋白尿の減少作用に優れていることが示されたとしている。
ミカルディスが心疾患の進行を抑えられることを確かめるため、大規模臨床研究「ONTAGET」や「POTECTION」、「PoFESS」が実施されており、合計5万8,000人以上の患者が参加している。日本では、日本ベーリンガーインゲルハイムが製造し、アステラス製薬が販売を行ない、両社で共同販促をしている。
●詳しくは日本ベーリンガーインゲルハイム(株)のサイトへ(プレスリリース)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所