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2007年01月16日
脳梗塞の発症メカニズム 糖尿病男性で発症率が3倍に
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脳梗塞のなりやすさを遺伝子が左右
脳梗塞のなりやすさを、DNAの塩基配列の個人差が左右していることが、九州大医学研究院や東大医科学研究所などの研究グループによって突き止められ、米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」(電子版)で発表された糖尿病の人では脳梗塞が起こりやすい
脳梗塞は突然起こり、命を奪うこともある恐ろしい病気で、命は助かっても麻痺などのために不自由な生活を強いられることが多い。
日本では脳血管疾患(脳出血や脳梗塞など)の発症率が高く、患者数は136万5,000人。発症するとしばしば長期の入院が必要となり、入院期間の平均は101.7日となっている。
糖尿病患者は、糖尿病でない人の2〜3倍なりやすく、脳梗塞になった人の約半数に糖尿病がみられることは意外に知られていない。
なぜ糖尿病の人がこれらの病気になりやすいかと言うと、脳梗塞は動脈硬化のために血液が流れなくなって起こる病気であり、糖尿病はその動脈硬化の進行を早めてしまうからだ。
脳卒中を予防するために
脳卒中予防10カ条
脳卒中は危険因子を除去することで、予防に努めることもできることから、日本脳卒中協会は下記の「脳卒中
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最も注意が必要な危険要因は高血圧で、久山町の調査では血圧値の高い人ほど脳梗塞の発症率が高くなることが確かめられた。収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg、拡張期血圧(最低血圧)が90mmHgを超えると、発症率は高くなる。脳梗塞を予防するために、血圧をこのレベル以下に下げることが必要
血糖コントロールと同様に、コレステロールや中性脂肪のコントロールも重要。血管壁の細胞にコレステロールなどが溜まると動脈硬化が進行する。これを防ぐために血清脂質(コレステロールや中性脂肪)をなるべく低めにするのが効果的。血清脂質を低めにしておくと血栓による梗塞が起きにくくなる。
久山町の調査では、悪玉のLDL-コレステロールが150mg/dLを超えると発症率が高くなった。脳梗塞のを防ぐための目標は120mg/dL未満。 喫煙
脳内の細い動脈が硬化しておこるラクナ梗塞の発症率が、1日10本未満の少量の喫煙者で最も高くなった。禁煙が勧められる。 アルコール(飲酒)
日本酒に換算して1日1.5合未満の少量のアルコール摂取によって、高血圧者の脳梗塞発症率が半減することが示された。しかし、飲酒量が増えるとその予防効果はなくなった
久山町のコーホート研究
福岡県久山町で、1960年代から40年間にわたり、生活習慣病の実態と予防対策について調べるコーホート研究が行われている。コーホート研究とは、同じ地域に住んでいるなど共通の特性のある集団を長い時間をかけて観察し、病気を発症する以前の健康状態と、発症した病気との関連を調べていく調査研究のことをいう。久山町の約7,000人の住民の8割以上の人が研究に協力している。
福岡県久山町で、1960年代から40年間にわたり、生活習慣病の実態と予防対策について調べるコーホート研究が行われている。コーホート研究とは、同じ地域に住んでいるなど共通の特性のある集団を長い時間をかけて観察し、病気を発症する以前の健康状態と、発症した病気との関連を調べていく調査研究のことをいう。久山町の約7,000人の住民の8割以上の人が研究に協力している。
●詳しくは「ネイチャー・ジェネティックス」のサイトへ(英文・要約)
●詳しくは久山町のサイトへ
健診40年の歩み 関連情報
糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞(糖尿病セミナー)
約6割の人が糖尿病が脳梗塞の危険因子であることを知らない
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所