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2006年11月01日
米国で1型糖尿病の新しい治療薬Symlinの有用性を検討
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米国食品医薬品局(FDA)は昨年3月に、1型糖尿病と2型糖尿病の新たな治療薬として、Symlin(成分名:pramlintide)*を承認した。1型糖尿病への新薬導入は、インスリン以来およそ80年ぶりだった。
Symlinは、インスリンだけで血糖コントロールを十分にできない患者に対し、注射により投与する製剤。膵β細胞からインスリンとともに分泌されるホルモン「アミリン(amylin)」の産生をはたらきかける作用がある。Symlinをインスリンと併用し食事時に注射することで、食物から血中へのブドウ糖の流入を遅くし、食後3時間の血糖値を下げるという。 インスリン分泌を補うものではなく、インスリンの必要量を低下させることで、血糖値の増減幅を抑えながらコントロールできるという効果がある。適用は、インスリンを常時使用しているにもかかわらず、血糖コントロールが必要な人に限られる。 しかし、1型糖尿病患者においてインスリン治療に併用した臨床試験では、吐き気や嘔吐という副作用があらわれた患者が多く、重い低血糖の頻度も多かった。FDAが承認した使用基準などでは、Symlin治療により低血糖を起こす危険に注意を払うよう明記されている。 今回新たに発表された臨床研究では、Symlinを少量から順次増量するとともに、併用するインスリンを段階的に減量するという方法で行ったところ、ブラセボに比して食後血糖上昇を改善し、体重の減量や投与インスリンを28%減量できるなどの治療効果を得られた。 一方、吐き気を訴えた患者は多かったが、軽度のため脱落した者は少なく、重篤な低血糖を来す頻度も減らすことができたとしている。 研究者らは、強化インスリン療法の懸案とされる低血糖や体重増加についてのひとつの解決策として、Symlinによる新しい治療方法を提言している。 このところ欧米では、GLP-lアナログ製剤、DPP-IV阻害薬などの、新しい作用機序のある新薬が糖尿病の治療に使われつつある。 Diabetes Care 29:2189-2195, 2006. * Symlinは米国のAmylin Pharmaceuticals社により開発され、その成分であるPramlintideは、インスリンと同じく膵ランゲルハンス島β細胞から分泌されるホルモンであるアミリンのアミノ酸組成を遺伝子工学的に一部組み換えたアナログ製剤。アミリンは食事摂取量に応じてインスリンとともに分泌され、ブドウ糖の調整に関与しているという。 ●詳しくは「Diabetes Care」のサイトへ(英文/要約)
●SYMLIN.com(英文) 関連情報
・新しい糖尿病治療薬「バイエッタ」
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所