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2006年07月11日
糖尿病合併症予防のための3,000人規模の臨床研究「J-DOIT3」
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2型糖尿病の血管合併症抑制のための介入試験
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糖尿病合併症は網膜症、腎症、神経障害など細い血管に起こるものと、脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞、足病変など太い血管でも起こるものがある。このうち心筋梗塞や脳卒中などは生命に直接かかわる恐ろしい疾患で、日本人の死因の上位を占めている。
こうした心筋梗塞、脳梗塞などの大血管症を抑制するためには、血糖コントロールに加え、血圧や血液中の脂質の量を抑えることも必要と考えられているが、どれだけ治療すれば効果的に抑制できるのかという有効な治療法はまだ確立されていない。
そこで、厚生労働省の研究グループは、大血管合併症を有効に抑制する新しい治療方法や指標づくりを目的に、「J-DOIT3」を6月後半に本格的に開始した。全国の71の大学病院などの医療機関で、約3,000人の2型糖尿病患者の参加を得て行う。
予防 のための戦略研究:J-DOIT3」はその中の1つ。
対象となるのは、血糖値を下げるインスリンの働きが弱まる2型糖尿病で、45歳以上70歳未満、HbA1Cが7.0%以上あり、血圧が収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期90mmHg以上、かつ脂質が正常でない患者。
研究は、患者を現在の標準的な治療(従来治療)を受けるグループと、さらに厳しい数値目標を目指した治療(強化療法)を受けるグループに分けて、心筋梗塞、脳卒中などの合併症の発症を約4年間で30%減らすことを目標にして行われる。
強化療法のグループには、より厳しい食事療法や運動療法に取り組んでもらい、治療目標に達しない場合は薬物療法も受けてもらう。
●糖尿病予防のための戦略研究
2型糖尿病の血管合併症抑制のための介入試験:J-DOIT3
戦略研究リーダー 門脇 孝先生(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科教授)
詳細は「糖尿病合併症予防のための戦略研究:J-DOIT3」のサイトへ
厚生労働省の研究グループは糖尿病の治療の新しい指標づくりを目的に、約3,000人を対象とした大規模臨床試験「J-DOIT3」を本格的に開始した。世界でも類を見ない大規模な糖尿病合併症抑制のための研究になる。
糖尿病合併症を予防するために
血圧や脂質の管理も重要
糖尿病の国内の患者数は2002年に約740万人と概算され、2020年には約1,400万人に増えると予測されている。それにともない糖尿病の合併症が起こる患者も増加すると推測されている血圧や脂質の管理も重要
糖尿病合併症の3割減が目標
より厳しい食事療法と運動療法
厚生労働省は「健康フロンティア戦略」を策定し、2005から2014年にかけて糖尿病を含む8疾病の予防・改善を目的する大規模臨床研究を実施する。「糖尿病合併症より厳しい食事療法と運動療法
国際協力医学研究振興財団サイトより
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参加者(患者)にメリットのある臨床試験
J-DOIT3の結果が出るのは4年後だが、世界でも類を見ない合併症抑制のための研究であり、成果を得れば糖尿病の新たな治療指針を世界に向けて発信できるようになる。
J-DOIT3のホームページも開設され、J-DOIT3について詳しく解説されている他、患者向けには血糖、血圧、脂質のコントロールに役立てられる情報も公開されている。参加者全員に歩数などを記録する加速度計と血圧計が無料で貸し出されたり、現時点で最も水準の高い治療が期待できるなど、参加者にメリットのある臨床試験だとしている。
強化療法のグループの患者が自己管理する内容 | |
1. 体重測定: | 毎日同じ時間に測定。 |
2. 食事療法: | 管理栄養士による栄養指導。 間食や夜食は禁止。飲酒も日本酒で1日1合程度に控える。 |
担当医師や看護師などの指導で運動を行い、加速度計で毎日の消費カロリーや歩数を測定。 | |
4. 血糖値の記録: | 血糖測定器で血糖値を毎日測定。 |
5. 血圧の測定: | 血圧計で同じ時間に血圧を毎日測定。 |
6. 禁煙: | 禁煙を遵守。 |
担当医師、看護師、管理栄養士の指導により治療を進めていく。
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「J-DOIT3」を紹介したホームページが公開された(www.jdoit3.jp)。 |
ホームページでは、糖尿病の治療を受けていて研究の参加を希望する患者向けに、分かりやすく解説したページも公開されている。 |
●糖尿病予防のための戦略研究
2型糖尿病の血管合併症抑制のための介入試験:J-DOIT3
戦略研究リーダー 門脇 孝先生(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科教授)
詳細は「糖尿病合併症予防のための戦略研究:J-DOIT3」のサイトへ
[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所