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2006年06月15日

新しいDPP-4阻害薬の第3相試験 体重を増やさず血糖コントロールを改善

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 ノバルティス(スイス)は、同社が開発中の2型糖尿病の経口治療薬「ビルダグリプチン(販売名:Galvus®)について第3相試験を行い、ビルダグリプチンが効果的に血糖値を低下させ、HbA1cを1年以上にわたり有意に低下させ、他の一般的な経口糖尿病治療薬よりも副作用が少ないことを確認したと発表した。
 複数の試験結果について、6月にワシントンDCで開催された第66回米国糖尿病学会(ADA)年次総会で発表された。

 ビルダグリプチンは、ジペプチジル・ペプチターゼ4(DPP-4)を阻害する作用機序のある初めての薬剤で、単剤または他の経口糖尿病治療薬との併用で、HbA1cを有意に低下させるとしている。また、ビルダグリブチン投与患者群では体重増加が少なく、ビルダグリプチン単剤投与では、低血糖や浮腫などの副作用の総発現頻度はプラセボ投与群と同程度だった。

 ビルダグリプチンは、DPP-4阻害薬として分類される薬剤。インスリン分泌を高めるホルモンであるグルカゴン様ペプテド-1(GLP-1)を分解する酵素(DPP4)を阻害すると、インスリン分泌が増えβ細胞の機能を改善し、結果として血糖値が下がると考えられている。DPP4阻害薬は、GLP-1の血中濃度を維持するという新しい作用機序の治療薬。

 2型糖尿病における高血糖の原因となる膵島機能不全は、膵α細胞のグルカゴンによる過剰な糖生成と、β細胞によるインスリン産生の低下により起こる。ビルダグリプチンはα細胞とβ細胞の両方に働きかけ、肝臓による糖生成を低下させ、インスリンの生成を増加させるという

 同社は、2006年初めに米国で、世界中の4,300例以上を対象とした臨床試験のデータを含む承認申請を行い、EUでの承認申請は2006年後半を見込んでいる。

 日本でのDPP-4阻害薬の登場は2010年頃と予測される

詳細はノバルティス ファーマ(株)のサイトヘ(プレスリリース)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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