糖尿病セミナー

33. 小児2型糖尿病

2014年11月 改訂

なぜ糖尿病といわれたのでしょうか?

 現在、小中学校では生徒全員を対象に尿検査が行われています。尿検査で糖が出た場合は、詳しい検査が必要になります。糖尿病かそうでないかの判定は、血液検査によって行います。血液検査で、血糖値が高い状態が続いているとわかったときに、糖尿病と診断されます。
 ところが、糖尿病(2型糖尿病)といわれるほとんどの子どもには、病気を思わせるような症状はありません。それでも糖尿病と診断され治療するのは、血糖値が高い状態が続くと、さまざまな病気が起きやすくなってしまうからです。
 病院の先生や看護師さんが糖尿病の治療をすすめるのは、症状がないからといって糖尿病を無視していると、そのうち大変なことになることを、よく知っているからなのです。

子どもの2型糖尿病の特徴と注意点

 学童糖尿病検診で発見される子どもの2型糖尿病の特徴と注意点を述べます。

特 徴

(1) 1型糖尿病と異なり自覚症状が現れず薬物療法も必要ないことが多い。そのために本人・保護者ともに病気であることを理解できずに治療をおろそかにしやすい。このため統計的にみると、血糖値がより高くなりやすい1型糖尿病よりも、かえって合併症※1が起きる頻度が高いと報告されている。

(2) 病気に対する保護者の理解が重要で、それが子どもの治療を左右する。

(3) 近親者に糖尿病の人がいるケースが多い(遺伝的要素が強い)。
 
(4) 肥満を伴っていることが多い。

(5)日本人の大人にみられる2型糖尿病とは異なり、子どもの2型糖尿病の発見時にはインスリン※2の分泌能力は十分残っていて、糖尿病でない子どもよりも、むしろたくさんインスリンが分泌されている(インスリン抵抗性※3が強い)。

注意点

(1) 成長期にあるので、摂取エネルギーの変更など、治療方法のこまめな調整が必要。

(2) 成長とともに治療の主役を保護者から子ども自身に移し、自己管理の方法を徐々に身につける。

(3) 糖尿病の治療とともに、子どもの心の成長にも目をむけ、学校生活を快適に送れるような配慮も必要。

(4) 発病の年齢が低いだけに、合併症が起きた場合には、若いうちに障害に至ることがある。

    ※1 合併症:糖尿病をよく治療しないと起きる病気。成人の失明原因の上位を占める網膜症や、人工透析が必要になる原因の第一位となっている腎症をはじめ、実にさまざまな合併症が起こります。合併症は一度発病すると治すのが難しいので、糖尿病の治療を続けて合併症を予防することが大切です。

    ※2 インスリン:血液中のブドウ糖(血糖)を細胞に取り込み、エネルギーとして利用する際に必要なホルモン。インスリンの働きが足りないと、血液中にブドウ糖があふれて血糖値が高くなります。その状態が続くのが糖尿病です。

    ※3 インスリン抵抗性:インスリンに対する細胞の感受性が悪くなること。インスリン抵抗性が強いと、インスリンの量はたくさんあっても血糖値が高くなります。インスリン抵抗性は、糖尿病を起こすばかりでなく、動脈硬化を進展させます。


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