HealthDay News
2023年04月20日
心臓病の家族歴がありながら運動習慣により長期間健康を保った女性――AHAニュース
HealthDay News
米国カリフォルニアに住んでいたJana Turnerさんは、自分の人生を常にコントロールしているという感覚を楽しみながら生活していた。結婚せず子どものいない彼女は、仕事のキャリアを最優先事項とし、企業の経営を担う身ともなっていた。
彼女はまた、自分の健康もコントロールしていた。両親と4人の祖父母の全員が心臓病で亡くなっていたため、健康的な食事を取り、身体活動を維持し、瘦せ気味の体型を保っていた。ゴルフやサイクリング、ハイキング、ウエートトレーニングも続けていたし、コレステロールを下げる薬も服用していた。
2020年5月、当時65歳だった彼女は、自宅付近を歩いている時に胸の痛みを感じ始めた。彼女は息を鎮めるために15分ほど縁石に座っていた。心臓発作が起きたのではないかと考え主治医の診察を受けたが、心電図上にその兆候はみられないとの結果だった。主治医は消化器系の問題と判断しその薬を処方。しかし症状は数週間持続。そのため次に、消化器科を受診すると、小さな潰瘍が発見された。ただし、ほかにも多くの症状があったため、さらに別の消化器専門医に診てもらったところ、その医師はニトログリセリンを処方した上で、心臓専門医に診てもらった方が良いとアドバイスした。
心臓専門医は、心臓核医学検査を施行。その翌朝、医師から伝えられたのは、「冠動脈の少なくとも1ヵ所に閉塞がある」という結果だった。さらに詳しい検査が行われ、1本の冠動脈主幹部に99%以上の閉塞があり、別の冠動脈にも閉塞がみつかった。それら2ヵ所にバイパスを作成するための開心術が必要と判断された。Turnerさんの現在の主治医であるAnne-Marie Feyrer-Melkさんは、「閉塞が99%の場合、猶予はほとんどない。もしプラークが破裂したら、その先はほんの一瞬のことだ」と解説する。Turnerさんはセカンドオピニオンを求めようとしたが、医師は「その時間はない」と彼女に答えた。彼女は涙をこらえきれなくなった。それはコロナパンデミック中に起きたことであり、病院の訪問規制のために誰も相談できる人はなく、彼女は1人で決断しなければならなかった。
手術はうまくいった。6日後に自宅退院し、それからは心臓リハビリテーションに励み、近所の散歩や階段の昇降もした。「私の場合、回復は順調だった」と彼女は語る。Feyrer-Melkさんによると、Turnerさんの若い時からの運動療法の継続が、彼女の迅速な回復に役立ったという。そして、「彼女がもし成人後の45年間、ジムなどで運動をしていなかったとしたら、恐らく数十年前にバイパス術が必要な状態になっていただろう」と解説する。
約1年後、彼女はカリフォルニアからアリゾナに引っ越し、新しい心臓専門医を予約した。そこで受けた検査の結果、バイパスの狭窄を指摘された。バイパス手術では、体の別の部分から採取した血管を使って血行を再建するが、その血管もまた狭くなってしまうことがある。「死にたいと思ったのは、それが初めてのことだった」とTurnerさんは振り返る。しかし医師は楽観的で、それほど深刻な問題ではないと伝えた。結局、再度バイパス手術を行うのではなく、ステントを留置することでこの問題をクリアできた。
完全な健康状態に戻ったTurnerさんは、自分に起こった問題の原因を探した。心臓病の濃厚な家族歴があったにもかかわらず、症状発現から正しい診断を受けるまでに、とても長い時間がかかったことが腹立たしく感じた。彼女は今、自分の経験からほかの人に学んでもらいたいと思っている。「あなたの症状を無視しないでほしい。心臓に何か問題があると感じた時は、心臓専門医に診てもらうことが重要だ。それがあなたの命を救うことになる」と語る。
心臓病を経験したことでTurnerさんは一時期、以前のように人生をコントロールできるという感覚を失っていた。不安に苛まれたり、緊張して動悸を感じたり、感情的になりやすくなった。しかし、仕事量を減らし、広大な風景に囲まれた家を売却して手ごろなコンドミニアムに転居したことで状況が変わった。「現在の私はこの新居に夢中だ。心臓病を経験したことは、今を自由に生きる術を私に与えてくれたと感じている」。
[American Heart Association News 2023年4月20日]
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Photo courtesy: Mike Luna Studios
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