ネットワークアンケート
糖尿病のスティグマとアドボカシー活動
医師・医療スタッフに聞きました
スティグマとは、特定の属性や特徴に対する誤った認識や偏見のことを指します。また、スティグマを取り除くための活動をアドボカシー活動と呼びます。
昨今、糖尿病の患者さんが、糖尿病に対する誤った認識や偏見によって不利益を被ることがない社会にしようという動きが起きています。糖尿病の患者さんの「スティグマ」に対する医療者の意識や対応について検討します。
3割の医療者がスティグマの相談を受けている
糖尿病患者さん向けのアンケートで、約4割の患者さんがスティグマを体験しているという結果が出ましたが(患者さん向けアンケートこちら)、糖尿病治療に関わる医療者にはそうした患者さんの声が届いているのでしょうか?
そこで、患者さんからスティグマについて相談されたことがあるかどうか聞いたところ、医療者の3割が相談されたことがあると答えました。
糖尿病患者さんからスティグマについて相談されたことはありますか?
- 相談されたことがある
- 相談されたことはない
患者さんから医療者が受けた相談の内容は、下記の通り「病気について周りに話せない・協力が得られない」が最も多いようです。しかし、患者さんへのアンケートで実際にどのようなスティグマを受けたことがあるかを聞いたところ、「生命保険や住宅ローンを拒否された」が最も多くあがりました。医療者に共有されること以外にも、患者さんはさまざまな体験をしているのかもしれません。
患者さんから相談された内容について教えてください。 n=90
病気について周りに話せない・協力が得られない
学校や仕事場などで感じた不愉快な思い
医師や医療スタッフから受けた不愉快な思い
生命保険や住宅ローンの加入拒否
就職や結婚などにおける不当な扱い
その他
8割の医療者が、患者さんへのスティグマに配慮
医療者の皆さんは、日々、患者さんに接する中で、医療者は糖尿病に対するスティグマにどう向き合っているのでしょうか。
糖尿病患者さんと接する中で、患者さんにスティグマを与えていた(与えている)と感じたことはありますか?
- 感じたことがある
- 感じたことはない
- わからない
糖尿病患者さんと接するときにスティグマを与えないように意識していますか?
- 常に意識している
- しばしば意識している
- ほとんど意識していない
- 全く意識していない
「糖尿病だから」という言い方をしない、治療に取り組んでいることに対し随所で敬意を持って接しているといった声も
糖尿病患者さんと接するときに、スティグマを与えないよう意識して取り組まれていることはありますか? n=282
患者さんの話を傾聴する
指示・命令ではなく、提案を行うように心がける
患者さん1人ひとりの人格を尊重して接する
禁止・拒否・否定の言葉をなるべく用いずに接する
特にない
その他
アドボカシー活動に医療者の9割が賛同。期待を寄せるのは?
糖尿病のスティグマを取り除くための「アドボカシー活動」については、9割以上の医療者が「重要である」と認識していました。また、アドボカシー活動として「糖尿病に関する正しい情報をマスメディアで広める」ことが効果的であると期待を寄せていることがわかりました。
アドボカシー活動(スティグマを取り除き患者さんの権利を守ること)についてのお考えを教えてください。
- とても重要であると思う
- 重要であると思う
- それほど重要であるとは思わない
- 重要だとは思わない
- わからない
糖尿病に対する差別や偏見を無くすために、どのような方法が効果的だと思いますか? n=282
糖尿病に関する正しい情報をマスメディアで広める
市民公開講座などで糖尿病について学ぶ機会を増やす
病名を変更する
その他
マスメディアは効果的かもしれませんが、安易に利用すると思わぬ弊害が出そうな気がする、保育園、幼稚園、小学校の時期から正しい知識を持ってもらうといった意見もあがりました。
実施時期:2023年 2月
調査方法:インターネット調査
対 象:「糖尿病ネットワーク」「糖尿病リソースガイド」メールマガジン会員
協 力:株式会社三和化学研究所
<回答者の属性>
医師・医療スタッフ 282 名
職 種:医師 28名、看護師 95名、薬剤師 66名、管理栄養士・栄養士 55名、臨床検査技師 8名、理学療法士 3名、保健師 11名、その他 16名
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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