ネットワークアンケート

糖尿病のスティグマとアドボカシー活動

「スティグマ」や「アドボカシー活動」という言葉をご存じでしょうか?
スティグマとは、特定の属性や特徴に対する誤った認識や偏見のことを指します。また、スティグマを取り除くための活動をアドボカシー活動と呼びます。
昨今、糖尿病の患者さんが、糖尿病に対する誤った認識や偏見によって不利益を被ることがない社会にしようという動きが起きています。今回は、糖尿病の患者さんの感じている「スティグマ」について検討します。

<ご報告>
今回のアンケートは、756名(患者さん474名、医療者282名)にご回答いただきました。糖尿病ネットワークより、国際糖尿病支援基金に お一人50円分、合計37,800円の寄付をおこないましたのでご報告申し上げます。ご協力ありがとうございました。

患者さん・ご家族に聞きました

 
医療者アンケートはこちら

患者さんの約4割がスティグマを体験

「糖尿病であることによって偏見や差別(スティグマ)を受けたことはありますか?」という質問をしたところ、患者さん全体の約4割が「受けたことがある」と回答しました。糖尿病のタイプ別でみると1型糖尿病患者さんで61%、2型糖尿病患者さんで31%、その他の糖尿病で33%と、1型糖尿病患者さんに偏見や差別を体験した人が多いことがわかりました。

糖尿病であることによって偏見や差別を受けたことはありますか?

Q1
  • 受けたことがある
  • 受けたことはない

Q1 Q1

糖尿病患者さんは、具体的にどのような偏見や差別を受けたことがあるのでしょうか。
「偏見や差別を受けたことがある」と答えた199名に聞いたところ、「生命保険や住宅ローンを加入拒否された」「学校や仕事場などで不愉快な思いをした」「病気について周りに話せない・協力が得られない」といったケースが多いようです。

糖尿病であることによって、どのような偏見や差別を受けましたか? n=199

生命保険や住宅ローンを加入拒否された

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学校や仕事場などで不愉快な思いをした

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病気について周りに話せない・協力が得られない

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医師や医療スタッフの言葉や行動などを不愉快に感じた

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就職や結婚などで不当な扱いを受けた

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答えたくない

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その他

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■その他
贅沢病と言われた(40代男性・1型)/学校でのいじめ(40代男性・1型)/昇進出来ない理由にされた(80歳以上男性・2型)/生命保険にはいれなかった(50代男性・2型)ほか 患者さんの自由コメントはこちらからご覧いただけます

病気のことは「人を選んで伝えている」が4割

患者さんご本人がお話しされない限り、日常生活において、その方が糖尿病であるかどうかは周りの人にはわからないことが多いでしょう。しかし、治療や病状によって、また急な体調変化が起きた場合などでは、周りの人の理解やサポートが大切になることもあります。

糖尿病であることを周囲の人に伝えていますか?

Q2
  • 伝えている
  • 伝えていない
  • 人を選んで伝えている

Q2 Q2

「糖尿病」という病名、どう思う?

現在、糖尿病に関わる医療者を中心に、糖尿病のスティグマ(偏見や誤った認識)を取り除くためのアドボカシー活動が積極的におこなわれています。その活動の1つとして「糖尿病」という病名の変更も議論にあがっていますが、患者さんは病名に対してどんな思いでいるのでしょうか? 今回のアンケートでは、約4割の患者さんが「抵抗がある」「とても抵抗がある」と感じていました。また、1型糖尿病患者さんで「とても抵抗がある」と感じる人の割合が高いことがわかりました。

「糖尿病」という病名に対してどう感じていますか?

Q1
  • なんとも思わない
  • 少し気になる
  • 抵抗がある
  • とても抵抗がある

Q2 Q2

糖尿病と向き合うために重要な「人」や「こと」

糖尿病患者さんは、ご自身の血糖値や病状と向き合いながら生活されています。時には周りのサポートが必要なこともあるかもしれません。実際、患者さんは毎日の生活の中でどんなことを求めているでしょうか

糖尿病と向き合っていくために重要だと感じていることを教えてください。n=474

糖尿病について相談できる医療者の存在

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周囲からの糖尿病という病気に対する理解

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話に耳を傾けてくれる家族や友人の存在

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糖尿病患者同士の交流

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特にない

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その他

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まとめ

今回のアンケートで、糖尿病患者さんの約4割が、糖尿病であることで偏見や差別を受けたことがあると答えています。また、「糖尿病」という病名に対しては、約4割の人が何かしらの抵抗感を感じていました。糖尿病の患者さんが、より自分らしく過ごせる社会環境を実現するために私たちに何ができるか、ぜひ皆さんも考えてみてください。

<調査概要>
実施時期:2023年 2月
調査方法:インターネット調査
対  象:「糖尿病ネットワーク」「糖尿病リソースガイド」メールマガジン会員
協  力:株式会社三和化学研究所
<回答者の属性>
患者さんやその家族 474 名
病  態:1型糖尿病 181名、2型糖尿病 277名、その他の糖尿病 9名、わからない 7名

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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