ニュース

2026年03月26日

遠隔医療で妊娠糖尿病妊婦の離島出産を支援、小豆島で第1例が誕生

 離島やへき地など、医療資源が限られた地域における妊娠糖尿病患者への支援が新たな局面を迎えている。
 香川大学医学部は、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)の一環として、糖尿病専門医が不在の地域でも高度な専門医療を受けられる「SETOUCHI Project」を推進してきた。そしてこのほど、同プロジェクトによる遠隔支援を受けた小豆島の妊婦が無事出産に至った。
 どこにいても安心して出産できる社会に向け、こうした遠隔支援体制の普及が今後ますます期待されるところだ。

離島における妊娠糖尿病管理の課題

 妊娠糖尿病は「妊娠中に初めて発見または発症した、糖尿病に至っていない糖代謝異常」である。母体と赤ちゃん双方の合併症リスクを少なくするためには、厳格な血糖管理が不可欠だ。そしてそのような血糖管理を伴う妊婦は、糖尿病専門医や糖尿病の専門資格を持つ医療スタッフによる指導を継続的に受けることが望ましい。しかし小豆島のような離島地域では、産科はあってもそうした専門家が不在であるケースが多く、妊婦が本土の医療機関まで船を乗り継いで通院しなければならないなど、身体的・経済的な負担が課題となっている。

デジタル技術と多職種連携で大学病院レベルのサポートを受けられるように

 こうした課題を解決するべく立ち上がった「SETOUCHI Project」は、香川大学医学部を中心とした多職種専門チームが遠隔でサポートを行う体制を構築。糖尿病専門医、専門資格を持つ看護師、管理栄養士、公認心理師で構成されるチームが、パーソナルヘルスレコード(PHR)や血糖データの共有、AIを活用した支援、そしてオンラインによる療養指導を組み合わせ、医療情報システムの専門家とともに妊娠糖尿病妊婦の安全な妊娠・出産を支えた。

 今回の事例では、現地の小豆島中央病院の産科・内科・小児科スタッフと、香川大学の遠隔チームが緊密に連携。対面での周産期ケアと、遠隔からのデジタル技術による専門支援を融合させ、専門医がいない土地においても高度なサポートを受けながら安全に出産できることを証明した。これは離島における周産期医療の質を向上させるだけでなく、患者の通院負担を劇的に軽減する画期的なモデルといえる。

 香川大学は今後、症例の蓄積を進めて本モデルの有用性と安全性を評価するとともに、この取り組みを全国の医療資源が限られた地域へと展開し、場所によらない公平な医療体制の構築を目指すとしている。

20.jpg

■参考

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲