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2023年07月20日

糖尿病の人に良い「6種類のヘルシー食品」 心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らし寿命を伸ばす

 [野菜・豆類・大豆・魚・ナッツ類・乳製品・果物]といった、6種類の健康的な食品を食べている人は、心筋梗塞や脳卒中、死亡のリスクが低いことが、80ヵ国の24万人超を対象とした大規模な研究で明らかになった。

 食物繊維が多く含まれる全粒穀物や、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品も、適度に食べていると、健康的な食事スタイルを実現できるという。

6種類の健康的な食品が心筋梗塞や脳卒中のリスクを低下

 [野菜・豆類・大豆・魚・ナッツ類・乳製品・果物]といった、6種類の健康的な食品を食べている人は、心血管疾患や死亡のリスクが低いことが、80ヵ国の24万人超を対象とした大規模な研究で明らかになった。

 さらに、玄米・麦ごはん・雑穀・ライ麦パン・全粒粉パンなどの、食物繊維が多く含まれる全粒穀物を取り入れ、肉類も加工度の低いものを組み合せると、健康的な食事スタイルを実現できるという。

 研究は、カナダのマクマスター大学の人口調査保健研究所(PHRI)によるもの。研究グループは今回、大規模調査「前向き都市農村疫学(PURE)研究」に参加した、糖尿病の人を含む、80ヵ国の約24万5,000人のデータを解析した。

 [野菜・豆類・大豆・魚・ナッツ類・乳製品・果物]といった健康的な食品をバランス良く食べていて、食事スコアがもっとも高かったグループでは、もっとも低かったグループに比べ、中央値9.3年の追跡期間に、死亡リスクが0.7倍に低下していた。

 とくに、心血管疾患(CVD)による死亡リスクは0.82倍に、心筋梗塞は0.86倍に、脳卒中は0.81倍に、それぞれ低下した。

 血糖値が高い状態が続くと、血管にダメージがもたらされる。糖尿病の人は、血糖管理が良好でないと、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高くなる。これらの合併症のリスクを減らすために、健康的な食事が必要だ。

健康的な食事スタイルは世界で共通

 「タンパク質の供給源となる魚介類や大豆、乳製品などに加え、全粒穀物や、加工度が低く脂身の少ない肉類も、適度に食べていると、健康上のベネフィットをえられることが分かりました」と、マクマスター大学健康学部の主任研究員であるアンドリュー メンテ氏は言う。

 「全粒穀物(ホールグレイン)」とは、精白などの処理で、果皮、種皮、胚、胚乳といった部位を取り除いていない未精製の穀物のこと。精製された穀物よりも食物繊維・ビタミン・ミネラルが多く含まれる。全粒穀物として、玄米・分つき米・麦ごはん・雑穀・ライ麦パン・全粒粉パンなどがある。

 「これまでの研究は、欧米式の食事スタイルに焦点をあてたものが多かったのですが、今回の研究で、健康的な食事スタイルは、世界で共通するものがあることが分かりました」と、メンテ氏は述べている。

 世界保健機関(WHO)は、心筋梗塞や脳卒中などのCVDが原因で亡くなった人の数は、2019年に世界で1,800万人に上ったと推定している。これは全死亡者の32%に相当し、うち85%は心臓発作と脳卒中によるものだった。

 糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満など、食事が深く関わる慢性的な疾患は世界的に急増しており、こうした疾患が、心筋梗塞や脳卒中の原因になっている。世界的に健康的な食事スタイルを広めて、対策する必要があるとしている。

 「糖質・脂肪・塩分が過剰に含まれる、高カロリーの加工食品を避けて、その地域に合わせた、なるべく自然に近い伝統的な食品をとることが勧められます」と、メンテ氏は指摘している。

牛乳やヨーグルトなどの乳製品は大丈夫?

 欧州心臓病学会(ESC)による、PURE研究に関する別の発表では、[野菜・豆類・大豆・魚・ナッツ類・果物]に加えて、全脂肪の乳製品も適量をとることが勧められている。

 乳製品には、牛乳・ヨーグルト・チーズ・バターなどがあるが、これらには良質なタンパク質が含まれる。

 乳製品には脂肪も含まれる。脂質は少量で多くのエネルギーがある。炭水化物1gは4kcalのエネルギーがあるのに対し、脂質1gは9kcalを生成する。

 食品から摂取した脂肪のうち燃焼されない分は、体脂肪として体内にためられる。そのため、どんな食品でも、食べすぎは、やはり勧められない。

 しかし今回の研究では、脂肪が含まれる牛乳などの乳製品も、適量をとっていると健康的であることが示された。

乳製品で高血圧やメタボを予防・改善

 これまで、摂取カロリーを減らしたい人や、コレステロールが高い人、肥満のある人には、低脂肪の乳製品が勧められることが多かった。

 しかし今回の研究では、全脂肪の乳製品が、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めているという証拠は示されなかった。

 むしろ、全脂肪の乳製品は、高血圧やメタボリックシンドロームを予防・改善に役立つ可能性が示されている。

 「とくに全脂肪の乳製品を極端に制限するよりも、健康的な食品をバランス良くとる食事スタイルが勧められます。牛乳やヨーグルト、チーズなども健康的な食品に含まれます。ただし、バターやホイップクリームなど、脂肪分のとくに多いものは勧められません」と、メンテ氏は指摘する。

 「南アジア・中国・アフリカなど、食事の質が悪い地域に住む人は、カロリー摂取量が低く、栄養不足が課題になっています。こうした地域では、乳製品は貴重な栄養の供給源になります」と、同大学心臓血管部のサリム ユスフ教授は指摘している。

Not eating enough of these six healthy foods is associated with higher cardiovascular disease and deaths globally (マクマスター大学 2023年7月6日)
Diet, cardiovascular disease, and mortality in 80 countries (European Heart Journal 2023年7月6日)
前向き都市農村疫学(PURE)研究
Global diet study challenges advice to limit high-fat dairy foods (欧州心臓病学会 2023年7月7日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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