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2022年04月19日
糖尿病の運動療法に「エクサゲーム」を活用 運動にテレビゲームを取り入れ楽しく続ける
運動習慣のない人が、新たに運動をはじめ、続けるのは簡単なことではない。
しかし、テレビゲームに運動の要素を取り入れた「エクサゲーム」であれば、運動に気軽に取り組め、楽しく続けられる可能性がある。
エクサゲームに取り組むことで、体力が向上し、運動に対して意欲的になれるという研究が発表された。座ったまま過ごす時間を減らすのにも効果的だという。
運動経験の少ない人も楽しく続けられる
これまであまり運動をしてこなかった人にとって、新たに運動をはじめ、続けるのは簡単なことではない。また、運動が楽しくなるのに、かなりの時間がかかるかもしれない。運動ジムなどに通うと費用もかかる。 そうした人も、テレビゲームに運動や身体活動の要素を取り入れた「エクサゲーム(Exergame)」であれは、運動に気軽に取り組める可能性がある。 エクサゲームとは、エクササイズとゲームを合わせた造語。10年前に「バランスWiiボード」や「ダンスダンスレボリューション」などが人気を集めて以来、ゲーム機器やコンピュータを用いて、運動や身体活動にゲームの要素を取り入れる試みは注目されている。 米ジョージア大学の新しい研究によると、アクティブなエクサゲームは、運動に新たに取り組もうとしている人々を助けるのに役立つ可能性がある。エクサゲームは多様化しており、いまでは誰でも自分の関心に合ったエクサゲームをみつけることができるという。 市販されている「PlayStation」「Xbox」「Nintendo Switch」といったゲーム機のほとんどに、アクティブなゲームのオプションが用意されている。 これまでの研究でも、とくに座ったままの時間が長い人は、テレビゲームを使って運動をすることで、身体的なメリットを得られる可能性があることが示されている。
エクサゲームの例
キネクト スポーツ
ズンバ フィットネス ワールドパーティ
アクティブなゲームの要素を取り入れたプログラム
同大学の研究では、エクサゲームに取り組んだ人は、提供された運動プログラムに対して、高い満足感と自律性を得られることが示された。 「多くの人は、自分をコントロールできているという自律性を感じていると、行動に対する意欲が高くなります。自分のために、自分で行動できているという感覚があれば、運動を長続きできるようになるかもしれません」と、同大学運動学部のサーミ・イリ-ピイパリ氏は言う。 運動というと、ジョギングやランニング、筋力トレーニングなどを思い浮かべる人が多い。しかし、こうした運動を自分で行うのを魅力的に感じられない人も多い。そうした人も、アクティブなゲームの要素を取り入れたプログラムであれば、楽しく取り組めるようになる可能性がある。 「たとえば運動ジムで運動に取り組むことにプレッシャーや退屈を感じる人でも、遊びの要素を含んだ運動であれば、迷わず足を踏み込めるようになります」と、同大学でキネシオロジーを研究しているホン ヨンジュ氏は言う。運動をしている時間がより楽しくなり積極性も増す
エクサゲームが運動や身体活動を増やす簡単な方法に
「誰かの指導を受けて運動をするのと、自分で進んで運動に取り組むのとでは、運動を続けるうえで大きな違いが出てくると考えられます」と、イリ-ピイパリ氏は言う。 「運動にテクノロジーを取り入れ支援する取り組みは始まったばかりですが、とくにこれまで運動をする習慣をもたなかった人々に対して、より良い方向へ導く第一歩となる可能性があります」としている。 こうしたエクサゲームは、成人だけでなく、子供にも有用であると考えられている。テレビやスマホ、モバイルなどを見ている「スクリーンタイム」が増え、子供の運動不足や肥満の増加は世界的に問題になっている。 多くの大人や子供にとって、テレビゲームを使い運動をすることに義務感は感じられない。保護者が子供に運動をするように強制することをしなくても、子供は自然にエクサゲームに向き合い、運動をするようになる可能性がある。 エクサゲームの製品開発は世界中で行われており、新たなエクサゲームが次々と登場している。「エクサゲームは、子供や大人の運動や身体活動を増やすための簡単な方法になる可能性があります」と、研究者は述べている。糖尿病の人がエクサゲームに取り組むと?
スイスのバーゼル大学スポーツ運動健康学部は、座ったままの時間の長い、45~70歳の過体重や肥満の2型糖尿病患者12人に、エクサゲームに取り組んでもらう試験を行った。
運動を習慣として行うことは、血糖コントロールを改善し、心血管疾患などの合併症のリスクを減らすために重要だ。すでに糖尿病の治療を受けている患者でも、運動をしていないと、心血管疾患などの合併症は56%の確率で起こるとしている。
とくに働き盛りで毎日忙しく過ごしている患者は、運動に取り組んで体力を向上させることに意欲的になりにくい。
しかし、ボクシング・障害物コース・サイクリング・体操などのエクサゲームに取り組んだ人は、心肺運動テストの結果が向上し、トレッドミルを使った従来の運動療法と同等の体力向上を得られた。
エクサゲームに取り組むことは、座ったまま過ごす時間を減らすために効果的とした報告も発表されている。通信機能を使って仲間を作ったり、交流ができるゲームも作られているという。
「テレビゲームを利用した運動であれば、2型糖尿病患者のための運動ガイドラインに合わせた運動強度を提供できる可能性があります。運動の強度を患者さんが自分で調整でき、体力に合わせた効果的なトレーニングを提供できるゲームもあります」と、研究者は述べている。
Short- and longer-term psychological and behavioral effects of exergaming and traditional aerobic training: A randomized controlled trial (International Journal of Sport and Exercise Psychology 2022年1月17日)
Gaming Against Heart Disease in Diabetic Patients (バーゼル大学 2015年11月13日)
Cardiorespiratory Exertion While Playing Video Game Exercises in Elderly Individuals With Type 2 Diabetes (Clinical Journal of Sport Medicine 2016年7月)
Exergaming can reduce sedentary time, increase social wellbeing (ユヴァスキュラ大学 2017年3月17日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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