33歳で心臓発作が起き39歳で再発を経験した男性の今――AHAニュース
米国ペンシルベニア州に住み、高校で数学を教えているAlex Hobbsさんは、サッカーやバスケットボールの経験が豊富でコーチ歴も長い。昨年5月のその日も、ユースサッカーの指導をしていた。
胸に灼熱感を感じた時、初めは呼吸器感染症の症状かと考えたが、やがて顎の痛みも加わった。その症状は、Alexさんがよく知っている、かつて経験したことのある痛みだった。
「二度目が起きたら、ただ事では済まないだろう」と常々思っていた、心臓発作の痛みに違いなかった。救急車が到着するまで、表面上は落ち着きを装っていたが、心の内では恐怖におびえていた。
6年前に初回の心臓発作を起こした時、彼は33歳だった。2月のひどく寒い日に、ハーフマラソンのトレーニングをしている最中に症状があらわれはじめた。
自宅に戻り様子を見ていると次第に痛みがひどくなり、左腕から顎へと広がった。横になれば治るのではないかと思ったが、妻のBethさんに連れられ病院を受診。結局、冠動脈の2カ所にステントを留置された。
日頃からスポーツを続けていて、なにより33歳という年齢での心臓発作は、彼にとってショックだった。医師は、「コレステロールの粘性が高い体質ではないか。治療後の今の心臓は、リハビリテーションが必要ないほど良好だが、今後の経過についてはある程度の不確実性がともなう」と説明した。
数学という学問を通して、確実な答を導き出すことに慣れていたAlexさんにとって、不確実な状態のまま過ごさなければならないという状況はストレスとなった。
ウエイトを持ち上げる瞬間に発作が再発するかもしれないと考えて、トレーニングはやめた。ベッドに入る時には、寝ている最中に発作が起きるのではないかという不安に苛まれた。やがて外出も避けるようになった。
「うつという状態を経験したのはそれが初めてだった。それはひどいものだった」とAlexさんは当時を振り返る。医師から不安神経症とうつ病の薬が処方された。しかしそれらを服用しても症状は改善せず、飲むのをやめてしまった。
Alexさんは初回の心臓発作後に、「もっと健康的な肉体にならなければいけない」と考え、体重を195ポンド(85kg)から175ポンド(79kg)へと減らしていた。
しかし、うつ状態が長引くにつれて運動量が減り、口に物を運ぶ回数が増え、毎晩ワインで心を落ち着けようとする習慣がついてしまった。そのような生活に、新型コロナのパンデミックが拍車をかけた。20ポンド減らした体重は元に戻り、さらに30ポンドも増え、血圧とコレステロールが上昇した。
2度目の心臓発作に対しても、2カ所にステントが留置された。回復したAlexさんに対して医師は、「生活習慣を徹底的に改善する必要がある」と伝えた。
Alexさんには妻と、まだ十代の3人の子どもがいる。「自分自身と家族のために、生き方を変えなければいけない」。Alexさんは決意を新たにした。
彼はその日から、植物性食品ベースの食生活に切り替え、アルコールを断った。ウォーキングとジョギングをはじめ、昨年のクリスマス休暇までに体重を50ポンド落とし175ポンドに戻した。料理好きのBethさんは、子どもたちとともにAlexさんの食生活改善を後押しした。
先日、40回目の誕生日を迎えたAlexさんの現在の体調は万全だ。瞑想をはじめてから、うつや不安に悩まされることもなくなった。自身の健康的な生活をテーマとしたブログを立ち上げ日々更新している。
「今の私の目標は、人々が健康的な食生活と身体活動を続け、そしてメンタル面の健康も保つことをサポートすることだ。そのような生活によって、人生を本当に変えることができることを、人々に知ってもらいたい」と彼は語っている。
[American Heart Association News 2022年3月2日]
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Photo Credit: Alex Hobbsさん(本人提供)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所