1型糖尿病診断時に糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)という命に関わる合併症を呈する児が増加していることが分かった。研究を行った米コロラド大学医学部のArleta Rewers 氏らは、児が無保険であるために1型糖尿病の診断が遅れ、重篤な合併症を生じている可能性があると指摘している。
DKAは、血中の糖とその代替となるケトンが危険なほど高くなる状態で、患者は長期的な健康障害をこうむる。
米コーエン小児医療センター(ニューヨーク州)小児内分泌医であるPatricia Vuguin 氏はこの研究に参加しない立場から、「DKAは高血糖とケトン体血症(酸性であるケトン体値の上昇)に特徴づけられる血液が酸性に傾いた状態だ。一般的な症状は嘔吐、極端な口渇と多尿、そして重症になりうる腹痛で、重症になると脳浮腫を来す。これが頭痛や昏睡を生じ、死に至ることもある」と説明する。
「JAMA」4月21日号に掲載された論文によると、Rewers 氏らは今回の検討で、1992〜2012年に1型糖尿病と診断されたコロラド州の18歳未満の児3,400人以上について、医療記録を調査した。
その結果、対象児の39%が1型糖尿病診断時にDKAを呈していたことが分かった。DKA合併率は1998年の30%から2012年の46%と同間中に55%上昇していた。
患者の特徴で研究期間中に変わったとみられたのは保険加入の有無のみで、2007年に公的保険の加入率は17%だったが、2012年には38%近くなっていた。また、DKA合併率は年齢が低く黒人患者のほうで高く、民間保険加入者で親族に1型糖尿病患者がいる場合はDKA合併率が低いことも判った。
Rewers氏はこの結果から、診断と治療の遅れに直面する米国の1型糖尿病患児が増大していることが示唆されると述べている。
事実、今回の研究で示されたDKA合併率は、医療事情が悪い国々と似ており、カナダや英国よりもはるかに高いという。Rewers氏らは「コロラド州の小児貧困率が2000年の10%から2012年の18%に上昇したことと、DKA合併率の上昇は相関している。民間保険に加入している小児にみられるDKA発生数の最近の増加は、高免責額保険プランの増加に関連するものかもしれない」と付け加えている。
Vuguin 氏は、「この研究データからは、貧困や高免責保険プランなどの経済的因子が診断時のDKAに重要な役割を果たしていることが示唆される」と認めている。
また別の糖尿病専門家である米マウントサイナイ病院Kravis小児病院(ニューヨーク市)のRobert Rapaport氏も保険の影響を指摘し、「小児が診断時にDKAを呈しているというのは、糖尿病の症状が認識されておらず、重症化する前に治療を受けない児が多いことを示している」と述べている。
http://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/more-kids-with-type-1-diabetes-having-dangerous-complication-698534.html
[2015年4月21日/HealthDayNews] Copyright© 2015 HealthDay. All rights reserved.
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所