糖尿病患者がんと診断されると、糖尿病治療薬の服薬アドヒアランス(遵守)が低下することが、国際的な大規模研究で明らかになった。
オランダ癌総合機構(アイントホーフェン)のMarjolein Zanders氏およびカナダ・アルバータ大学公衆衛生学部(エドモントン)のJeffrey Johnson氏らによる検討の結果。
同氏らは、「がん診断によって、血糖降下薬の服薬遵守が影響を受けることが分かった。予後不良のがんや進行がんで影響がより強い傾向があったが、予後の差は服薬遵守への影響の一部しか説明していなかった」と解説している。
「Diabetologia」2月号に掲載された論文によると、検討では、血糖降下薬を使用する糖尿病患者1万6,000人以上(平均68歳)、うちがんと診断されていた3,200人以上について、投薬占有率(MPR)を分析した。MPRは一定期間中の総投薬量に対する実服薬量の割合を示す指標で、MPRの10%低下は1か月で3日糖尿病薬を服薬しなかったことを意味する。
分析の結果、がんと診断されたときにMPRは全体で6.3%低下し、その後毎月0.20%低下することが確認された。
MPRの低下が大きかったのは肝がん(35%)、食道がん(19%)、肺がん(15.2%)で、胃がん、膵がんおよび進行がんでも低下が大きかった。一方、前立腺がんでは診断後にMPRが2%上昇し、乳がん診断後のMPR低下は0.5%にとどまった。
がん診断後の毎月のMPR低下率が最も大きかったのは膵がん(0.97%)、末期がん(0.64%)だった。
著者らはこの結果について、糖尿病を併存するがん患者は、非糖尿病者より死亡率がはるかに高いが、その理由の一部は服薬遵守率の低下によって説明できるのかもしれないと指摘。
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所