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2014年07月08日
CKD・糖尿病性腎症の疾病管理〜バイオマーカーL-FABPの可能性〜
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- フットケア情報ファイル 糖尿病の検査(HbA1c 他)
続いて心血管疾患との関連を紹介したい。図6は本日の座長の和田先生が研究代表者として進められた厚生労働科学研究の結果で、糖尿病性腎症患者や、腎硬化症の患者を追跡し、尿中L-FABP、アルブミンおよびNAGといった複数のバイオマーカーの有用性を比較したものである。複合エンドポイントとして、脳卒中、心筋梗塞、手術を要するASO、透析導入、死亡という、ハードエンドポイントを設定している。結果は尿中L-FABPのAUCが0.825で、三つの指標の中でリスク予測能が最も高かった。
ただ、ここまでに紹介したデータはある一時点の検査値からの予後予測について検討したものである。仮に治療介入後の検査値の変動が予後と相関するのであれば、実臨床においてさらに重視すべきマーカーとなり得るだろう。この点についても、和田先生の班研究で検討が進められており、まだ途中経過ではあるが有望な可能性を示す成績が報告されている。
観察開始時と1年後の各指標の変動で4群に別け(正常から異常、異常から正常、正常の持続、異常の持続)、累積エンドポイント到達率を比較すると、正常を持続した群の到達率が低く、異常を持続した群で到達率が高いのは当然ながら、正常から異常、または異常から正常への変化が到達率に影響していたのは尿中L-FABPのみであった。
このほか、本日のテーマからやや離れるが、尿中L-FABPは急性腎障害(AKI)の重症度判定や治療効果判定、経過観察において、血清クレアチニンなどに比して、より鋭敏な指標であることが報告されている。またL-FABPは腎臓に負荷を与える脂肪酸に結合して排泄するものであることから、それ自体は腎保護作用があると考えられ、実際にそのことを示唆する報告も増えてきている。
これらL-FABPの新たな可能性を探るために、今後さらに検討を続けていく必要があるだろう。モーニングセミナー2 第4会場(大阪国際会議場10F Room1001-2)
演題:CKD・糖尿病性腎症の疾病管理〜バイオマーカーL-FABPの可能性〜
座長:金沢大学大学院医薬保健学総合研究科血液情報統御学教授 和田志 氏
演者:聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科教授 木村健二郎 氏
共催:株式会社特殊免疫研究所、シミックホールディングス株式会社
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