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2012年09月11日
糖尿病患者にとって安定した仕事は重要
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糖尿病患者やその予備群は、生活と職業を安定させることが、療養生活や治療の質を向上させるために重要であることが、米国の糖尿病患者を対象とした調査からあきらかになった。
薬の飲み忘れ率が25%増加
この研究はミシガン州立大学の研究者らが行ったもので、対象となったのは24〜59歳(年齢中央値は48.3歳)の2,256人の男女。調査対象からは妊婦や退職者、学生、インスリン治療者は除かれた。
調査開始時点の質問で、対象者のうち43%は「失業中」と答え、2年間の追跡期間中に5回行われた質問で「仕事がない」と答えた者は29%に上った。このうち「現在求職している」と答えた者は73%、「病気などの理由で仕事ができない」と答えた者は20%にのぼったという。
研究では、糖尿病の治療行動を遵守している割合についても調査し、経口血糖降下薬などの飲み忘れなどがないかを調べた。
その結果、対象者の就業状況と内服率の関係を分析したところ、仕事をしていない者はしている者に比べ、治療薬の飲み忘れ率が25%も高かった。
米国民にとって、職を失うことの打撃は、収入が途絶えることだけにとどまらない。多くの国民は勤務先を通じて医療保険に加入しており、それを失うと莫大な医療費負担がのしかかってくることになる。
失業者が自動的に無保険となる事態を防止するために、勤めていた企業の医療保険を一定期間維持できるようにする制度が用意されているが、米国では失業者は多く、十分にカバーできていないのが現状だという。
「患者の治療行動の質の低下に、失業という危機的な状況が大きく関わっていることが、あらためて示された」とミシガン州立大学のRajesh Balkrishnan氏(社会学)は話す。
一方で、糖尿病は、米国の働き盛りの世代で、もっとも患者数の多い慢性疾患のひとつとなっている。糖尿病は適切な治療を続けないでいると、神経障害、網膜症、腎症の3大合併症や、脳卒中、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症などの深刻な合併症を引き起こす。米国では糖尿病は7番目に死亡数の多い疾患だという。
糖尿病の医療費は米国でも増加している。医療費のランキングで、高血圧や心臓病などに並び、8番目に入っている。糖尿病の医療費の総額は、2007年には約14兆円(1,740億ドル)だったとみられている。
糖尿病をもつ人では平均に比べ、失業率が高い傾向があるとの気になる結果も示されている。
「医療保険の問題を乗り越えて、患者が適切な治療機会をもてる社会を実現することが重要だ。糖尿病治療と就労の両立を目指すために、社会的な対策を講じる必要がある。失業などの経済的危機に直面する患者を支援する仕組みづくりも必要だ」とBalkrishnan氏は強調している。
For diabetics, a steady job is good for your health(ミシガン州立大学 2012年8月29日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所