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2011年07月25日

医療計画に精神疾患を追加 糖尿病など5疾病に 【社会保障審議会】

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 社会保障審議会医療部会は6日、精神疾患を医療計画に記載すべき疾患に追加することを合意した。がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病の「4疾病」に精神疾患が追加され、医療計画に記載すべき疾病は「5疾病」となる。

職場のうつ病、高齢化で認知症が増加
 医療計画では、明示するべき疾病として「患者数が多く、死亡率が高いなど緊急性が高いもの」、「症状の経過に基づくきめ細かな対応が求められ、医療機関の機能に応じた対応が必要なもの」、「病院・診療所・在宅の連携に重点を置くもの」という条件を示している。

5大疾病患者数の推移
 これを受けて、都道府県が中核病院を中心に医療連携体制を構築し、地域医療の効率化・体系化をはかり、治療を継続して受けられる医療提供や、医療費の増加を抑えるための予防策など、具体的な対策をたてている。

 医療計画の4疾病の患者数は、がん(悪性新生物) 152万人、脳血管疾患 134万人、虚血性心疾患 81万人、糖尿病 237万人(2008年患者調査)。

 一方で、精神疾患の患者数は323万人であり、4疾病の患者数よりも多くなっており、国民に広く関わる疾患となっている。背景には、職場におけるうつ病の増加や、高齢化による認知症患者の増加などがある。

 年間の死亡数は、悪性新生物 34万人、心疾患 18万人、脳血管疾患 12万人。一方で、自殺による死亡数は3.1万人であり、糖尿病による死亡数1.4万人の約2倍となっている(2009年人口動態統計)。自殺者の約9割に、何らかの精神疾患に罹患していた可能性もあり、早期治療や医療連携が課題となっている。

 地域で早期治療を推進し、急性期の入院医療の重点化や訪問診療・訪問看護などの充実をはかり、地域の精神科をはじめとする病院、診療所、訪問看護ステーションなどが個々の機能に応じた連携を整備することが求められている。

 厚労省は省令を改正し、2013年度以降の医療計画に反映させる方針。同省の検討会で必要な医療機能の明確化や医療機関の分担・連携の推進方策を検討し、今年度中に策定する指針に盛り込む。

第19回社会保障審議会医療部会資料(厚生労働省)
厚生労働省関係審議会議事録等 社会保障審議会

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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