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2010年03月15日

【2010年診療報酬改定】 糖尿病の薬価はこれだけ変わる

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 新年度から医療の価格や制度が一部変わる。医療機関で医療保険を使って受ける医療行為は、項目ごとに「診療報酬」と呼ばれる公定価格が決められている。この診療報酬は2年に1度見直されるが、今回は10年ぶりに全体で引き上げられた。

糖尿病の薬価

 2010年度診療報酬改定では、薬価基準収載品目の約9割が引き下げられる。患者は薬剤代を含めた全治療費の一部を支払い、残りは加入している医療保険が負担する。糖尿病治療薬でも多くの薬剤の薬価が下げられる。

(矢印の左は2010年3月現在、右は4月1日以降)
● オイグルコン錠1.25mg
  9.10円 → 8.60円

● アマリール1mg錠
  22.50円 → 22.30円

● メルビン錠250mg
  9.70円 → 9.60円

● グルコバイ錠100mg
  49.00円 → 45.00円

● スターシス錠90mg
  55.30円 → 55.00円

● グルファスト錠10mg
  54.20円 → 53.40円

● アクトス錠15mg
  98.60円 → 84.60円

● アクトス錠30mg
  184.00円 → 158.00円

● ジャヌビア錠25mg
  99.5円 → 96.10円

 医療機関で処方される薬の価格(薬価)も厚生労働省が決めている。その価格表である「薬価基準」も全面改訂され、多くの薬剤で薬価は引き下げられた。

 疲弊が進んでいるとされる医療を、医療機関の収入を増やすことで立て直すと同時に、社会の高齢化にともない急増する医療費を抑えようという狙いがある。

診療報酬:10年ぶりに全体で引き上げ
 2010年度改定では、診療報酬本体が1.55%(約5,700億円)引き上げられ、10年ぶりのプラス改定が行われた。それを補うかたちで、医療材料を含む薬価は1.36%(約5,000億円)引き下げられる。これらを合わせた全体の引き上げ幅は0.19%(約700億円)で、わずかに上がる。

 今回の診療報酬改定では、病院の救急や小児科、産科、外科などの分野で医療費を上げ、病院の負担を緩和することが重視されている。患者によっては影響が出るケースもあるが、診療所に通院する患者では負担に大きな変化はないとみられている。ただし、夜間や休日の治療では、診療報酬が上がる部分があり、救急外来に行った場合などは、負担が増えることになりそうだ。

 薬価が引き下げられた分は患者の負担も軽減されるが、診療報酬は全体では引き上げられている。また、診療所では時間外の問合せ対応などの加算なども新設されるので、患者が実際に払う医療費にはそれほど影響しない可能性もある。

 米系調査会社IMSジャパンによると、2009年の国内医療用医薬品市場は、薬価改定がなかったことが追い風となり、前年比7.2%増の8兆8516億円だった。糖尿病治療剤は6.1%増の3207億円。

薬価は9割で引き下げ
 厚生労働省は、4月1日に実施する改定診療報酬・薬価も告示した。薬価・材料価格はマイナス1.36%となった。

 診療報酬は主に、医師の治療行為などにかかる「本体部分」のほか、薬剤の公定価格である「薬価」で構成される。前回2008年度改定では、本体がプラス0.38%、薬価・材料価格がマイナス1.2%で、全体ではマイナス0.82%だったが、2010年度は約10年ぶりにプラスに転じた。

 薬の市場価格は年々下がっていくため、薬価は原則2年ごとの診療報酬改定に合わせて引き下げられる。国民医療費に占める薬剤費の割合は21%程度。

 昨年12月に中央社会保険医療協議会に報告された薬価調査結果(速報値)によると、薬の実勢価格は公定価格を約8.4%下回っていた。今回改定の薬価引き下げで、この薬価差を是正することが考えられている。

 これにより削減される国庫負担(4分の1)は約1200億円と見込まれ、病院勤務医の負担軽減などの財源にあてられる。

後発品の処方せんが多いと加算
 後発医薬品(後発品、ジェネリック薬)の促進は、今回の診療報酬改定で大きなテーマとなった。

 これまでに先発品よりも薬価が安い後発品の使用促進のため、処方せん様式の変更、規則の緩和、薬局調剤での後発品調剤加算の新設などを行ってきたが、後発品普及は「2012年度までに数量シェア30%以上」という目標に届いていない。

 今回の薬価改定では、薬剤費の約36%を占める長期収載品について2.2%の追加引き下げが加えられ、製薬企業の負担を増したかたちになった。

 診療所や病院を受診した場合、処方せんが発行される。患者は調剤薬局に処方せんをもちこみ、薬を受けとることが多い。

 このときの調剤料にも変更が加えられ、後発品を処方する量が増えると、薬局の収入が増える方式がとりいれられた。

 また、含量や剤形が異なる後発品への変更調剤についても、薬剤料が変わらず患者の同意があれば、処方せんに記載された規格の在庫がなくても後発品の調剤が可能になる。

 病院については、薬剤部門で後発品の品質・安全性・安定供給体制の情報を収集・評価する体制を整え、後発医薬品の採用品目数の割合が20%以上であることを要件に、「後発医薬品使用体制加算(30点)」が新設された。

2010年度診療報酬改定案の主な内容
外来診療など 再診料の変更 診療所 710円 → 690円
中小病院 600円 → 690円
往診料の引き上げ 6500円 → 7200円
薬局 後発薬を出すほど調剤料が増える仕組みを導入 調剤料への加算額
処方せん枚数ベースで3段階
の数量ベースに変更
  20%以上 60円
  25%以上 130円
  30%以上 170円
  • 診断書や診療記録など事務作業を補助する職員の報酬加算を引き上げ、病院勤務医の負担を緩和。
  • 多職種からなるチーム医療(栄養サポートチームなど)加算。
  • 診療所(開業医)と中小病院の再診料を69点(690円)で統一。
  • 時間外の電話対応やなど専門医への紹介などを行う診療所を評価する「地域医療貢献加算」を新設。
  • 再診料に上乗せする「外来管理加算」で、診察や説明の時間の目安(5分ルール)を廃止。
  • 診察の内容や検査、投薬などの費用の内訳が分かる明細書を、原則として無料で発行するよう義務付け。
  • 在宅血液透析の報酬の引き上げと、医療機関における透析の報酬の見直し。
  • 薬局での安価な後発医薬品の調剤を促すため、規制を緩和し加算点数を引き上げ
  • 後期高齢者医療制度に関する項目を一部廃止。

平成22年度診療報酬改定について(厚生労働省)
平成22年度診療報酬改定説明会(平成22年3月5日開催)資料(厚生労働省)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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