ニュース

2009年12月25日

不規則な生活で生体リズムが狂い高血圧に 機序を解明

キーワード
 生体リズムと高血圧は関係があり、不規則な生活が続くと高血圧をまねきやすい―。生体リズムの異常が生活習慣病を引き起こす仕組みを、岡村均・京都大学薬学研究科教授らの研究グループがマウスを使った研究であきらかにした。

 生体リズムが高血圧にも影響することが、昼夜交代制の職場で働く人で高血圧が多いことなどから疫学的に知られているが、生体時計(体内時計)と高血圧を結びつける分子機序についてはよく分かっていない。

 そこで研究グループは、遺伝子組み換え技術で体内時計を働かなくしたマウスを作り、塩分の多い食事を与えた。すると副腎から産生され血圧の調整に関わるホルモンであるアルドステロンが過剰に分泌され、高血圧が引き起こされていることが分かった。アルドステロンは腎臓に働きかけ塩分を保持させカリウムを排出させる。すると水分の再吸収が高まり、血液量が増加し血圧が上昇する。

 さらに副腎の遺伝子解析で、このホルモンを作る特定の酵素「水酸化ステロイド脱水素酵素」が過剰にできていることも判明。この遺伝子は体内時計の正常なマウスではおよそ24時間周期で変動するが、体内時計が働かなくなったマウスでは1日を通して常に高いレベルになっており、それがアルドステロンの異常産生を引き起こしていた。この酵素はヒトの体でもみられるという。

 研究者らは、「朝晩の食事、睡眠などの毎日の生活リズムは、人類発祥以来続いてきた健康な生活の基盤。現代生活では、テレビやゲームによる睡眠時間の減少や、24時間営業のコンビニエンスストアなど、生体リズムシステムの維持が困難になっている」として、「不規則な生活による生体リズムの異常が健康障害を起因している可能性がある」と述べている。

 この研究は新たな治療薬開発につながる成果で、12月13日付で米医学誌「Nature Medicine」(オンライ版)に掲載された。

京都大学

関連情報
体内時計を遅らす化合物発見 睡眠障害などの治療に光明(日本生活習慣病予防協会)
ダイエット食による早起き効果 体内時計をマウス実験で解明(日本生活習慣病予防協会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲