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2009年07月28日

低カロリーの食事で寿命が延び健康的に サルで実証研究

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 低カロリーの食事をとり続けると、より健康的に生きられる可能性が高いという研究が発表された。

 低カロリー食と老化の減速は強い関連があり、低カロリー食で寿命が延び、より健康的に生きられる可能性があることが、米ウィスコンシン大学などの研究チームが、サルを対象に20年にわたり調べた研究で分かった。低カロリー食は老化を遅くし、がん、糖尿病、心疾患など加齢と関連の深い病気の進行を遅らせるという。この知見は、科学誌「Science」7月10日号に発表された。
カロリー制限で寿命が延び、脳の老化も防げる
 研究は、研究開始時点で成体(7〜14歳)だったアカゲザル76頭を対象に行われた。制限なく好きなだけ食べさせる群と、カロリーを30%減らした食餌を与える群に分け、その後の経過を観察した。1989年に開始された研究は20年に及んだ。飼育されているアカゲザルの寿命は27年ぐらいで、現在も生存しているのは33匹になった。

 自由に食餌をとった群で生存しているのは約半数で、37%(14匹)が糖尿病やがん、心疾患、脳萎縮など加齢と関連の深い病気で死んだ。一方、カロリーを制限した群では80%が生存しており、加齢に関連する病気で死んだのは13%(5匹)で、制限なしのグループの3分の1にとどまった。

カロリーを制限した食餌を与えたサル(左、27歳)と食べたいだけ食べたサル(右、29歳)
カロリー制限食をとったサルでは肥満が少なく、がん、糖尿病、心疾患、脳萎縮など加齢に関連した病気も減少した。

 米ウィスコンシン大学マディソン校医学部のRichard Weindruch教授は、「カロリー制限食により老化プロセス(aging process)を減速できることが霊長類で示された」と述べている。「低カロリー食が寿命が延ばし、歳をとったときの生活の質(quality of life)も向上する。加齢にともなう病気の発症や生存率の増加をみると、カロリーの制限が強い影響をもっていることは明白だ」としている。

 低カロリーの食餌をとり続けたサルでは、自由に食べ続けたサルに比べ、がんと心疾患の発症率が半分未満に減り、糖尿病や血糖の調節異常も発見されなかった。「カロリー制限は糖尿病の予防になっている」とWeindruch教授は話す。脳の健康状態も制限食を与えたサルでは良好で、脳萎縮や筋力低下が少なかった。サルの作業能力を実験したところ、カロリー制限をしたサルでは脳の領域が働く記憶が必要な作業や、問題の解決能力も比較的よく保存されていた。

 低カロリー食による寿命の延長は早くから着目されており、マウスを対象としたカロリー制限に関する研究は1930年代に始められている。研究者らは「霊長類の老化を遅らせることを明確に示せたのは大きい」として、「ヒトでも同様の効果を得られると予測している」としている。このサルを対象にした研究はさらに15年続けるという。

制限食がサルの老化や病気を減少する(英文、ウィスコンシン大学リリース)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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