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2009年07月17日
健康的な食事が死亡リスクを下げる 米国の食事指針
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健康的な食事を続けている米国人は、長生きできる可能性が高いという研究が発表 された。健康的な食事をしている人では死亡リスクが最大で25%低下するという。
研究は、米国立衛生研究所(NIH)と50歳以上の会員約4000万人を有する民間非営利団体「AARP」(旧・全米退職者協会)のもつ米国の35万人以上のデータベースを解析したもの。対象者は1995〜96年のベースラインで50歳から71歳だった。10年間の追跡調査期間中の食習慣と死亡リスクとの関連を評価した。研究結果は米医学誌「The Journal of Nutrition(栄養学)」7月号に掲載された。
果物と野菜、全粒粉を十分にとり、肉を食べすぎない
米国農務省(USDA)と保健福祉省(HHS)が2005年に発表した「米国人のための食事指針(ガイドライン)」では、果物と野菜、全粒粉を
米国人のための食事指針
(ガイドライン) 2005
その結果、もっともスコアが高い群では期間中の死亡リスクが20〜25%低いことがあきからになった。性差も認められ、もっとも健康的な食事をしている女性では死亡リスクが25%、男性では20%低下した。
研究を発表した米ニューヨーク市立大学クイーンズ校栄養学教授らは「野菜を週に5〜6サービング(serving)とるだけでも、スコアは高くなる。食事指針の全ての項目を満たすのは困難なことだが、できるところからはじめれば、死亡リスクを減らすことができる」と述べている。
「米国人のための食事指針(ガイドライン)」は5年ごとに改定され、2010年版の策定が進められている。2005年版の主な内容は次の通り―(ガイドライン) 2005
- エネルギーは必要なだけ、栄養は十分に
(Adequate Nutrients Within Calorie Needs)
「食事ガイドライン」では、食事によるエネルギーのとりすぎを防ぎ、もっと運動をして、食品を賢く選択することを勧めます。飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、糖質、塩分、アルコールのとりすぎに注意しましょう。 - 適正体重の維持
(Weight Management)
健康的な体重を維持するために、日常でのエネルギー消費量と食事のエネルギー摂取量を比べてみましょう。年齢にともなう以上の体重増がみられる場合は、エネルギー摂取量を減らし運動を増やしましょう。 - 運動
(Physical Activity)
高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病、がんなど成年期に多い慢性疾患を予防するために、運動を習慣的に行い、適正体重を維持しましょう。中程度の運動を少なくとも毎日30分行いましょう。 - 全粒粉、野菜、果物を多くとりましょう
(Food Groups To Encourage)
1日に必要なエネルギー量の範囲内で果物と野菜を多く食べましょう。1日のエネルギー摂取量が2000kcalの場合、果物を2カップ、野菜を2と1/2カップを毎日とるのが適量です。さまざまな食品から栄養をとるのが望ましく、野菜の5つのグループ(ダークグリーン、オレンジ、豆類、炭水化物の多い野菜など)から週に数回ずつとることが勧められます。
全粒粉を使った食品を1日に3オンス相当、少なくとも半分を全粒粉からとりましょう。肥満を予防するために低脂肪の牛乳や乳製品も勧められます。 - 脂肪
(Fats)
脂肪を総カロリーの20〜35%に抑えましょう。飽和脂肪酸を総カロリーの10%未満に、コレステロールを1日300mg未満に抑え、トランス脂肪酸をなるべく減らすことが勧められます。肉、牛乳、乳製品などには飽和脂肪が多く含まれ、魚類、ナッツ類、植物性脂肪などは不飽和脂肪酸が多く含まれます。 - 炭水化物
(Carbohydrates)
食物繊維の多い食品を選びましょう。エネルギーの過剰摂取は過体重や肥満の原因になります。果物や野菜、全粒粉など食物繊維の多い食品を増やし、運動を増やしましょう。砂糖の代用となる人工甘味料はエネルギーはありませんが、摂取したエネルギーを消費しないでいると減量にはつながりません。 - 食塩、ナトリウム
(Sodium and Potassium)
高血圧のある人や中高年、高齢者にとって、ナトリウム(食塩)のとりすぎは勧められません。ナトリウム摂取量を1日を2300mg未満(食塩に換算すると小さじ1杯)に抑えましょう。果物と野菜は低ナトリウムで、多くとるとカリウムの摂取が増加し、血圧低下につながります。1日のナトリウム摂取量を1500mg以下に抑え、野菜など食品によるカリウム摂取量を4700mgに増やすのが目標です。 - アルコール飲料
(Alcoholic Beverages)
過剰なアルコールの摂取は高血圧、糖尿病、脳卒中、心臓病、がんの発症リスクを高めます。また、肝硬変、膵臓炎の原因となり、脳と心臓の障害につながります。
Journal of Nutrition, Vol. 139, No. 7, 1374-1380, July 2009
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所