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2009年05月21日

ビグアナイド薬:メトホルミンの単独療法可能に 最高投与量は変更なし

 大日本住友製薬と日本新薬は20日、経口血糖降下剤「メルビン錠250mg」と「グリコラン錠250mg」(一般名:メトホルミン塩酸塩)が、2型糖尿病患者への単独療法を可能とする「効能・効果」および「用法・用量」の一部変更承認を取得したと発表した。

 メトホルミン塩酸塩は、1961年に国内承認を取得したビグアナイド系経口血糖降下剤。2型糖尿病の治療に用いられているが、1977年からは、「SU剤が効果不十分な場合あるいは副作用等により使用不適当な場合に限る」という使用制限が加えられていた。

 欧米では使用制限はなく2型糖尿病治療の第1選択薬と位置づけられている。海外での実績をふまえ、近年日本でもメトホルミン塩酸塩の臨床的意義が見直されており、両社は共同で一部変更承認を申請していた。

ビグアナイド薬(BG薬)
 ビグアナイド薬(BG薬)は、主に肝臓でのブドウ糖吸収を増やし、肝臓からのブドウ糖の放出を抑え、血糖値を低下する作用がある。そのほかに、筋肉や脂肪細胞に働き、血液中のブドウ糖の吸収を促すほか、小腸からのグルコース吸収を抑え、食欲を抑える作用も報告されている。
 SU薬だけでは血糖コントロールが十分でないときに併用薬として使用されることが多いが、単独で処方されることもある。膵臓からのインスリン分泌を刺激しないので、体重増加も起こりにくい。そのため肥満傾向のある2型糖尿病に特に適しているとされる。
 BG薬は2型糖尿病の治療薬として1950年代から使われているが、70年代に副作用として乳酸アシドーシスを起こす可能性が指摘され、、一時期処方されることが少なかった。その後、乳酸アシドーシスが高頻度に起こったのは初期に使われたフェンホルミンであり、メトホルミンによる乳酸アシドーシスの発症頻度はフェンホルミンに比べ低いことがあきからになった。現在ではメトホルミンの安全性は再認識されている。
 1995年頃から米国でメトホルミンが2型糖尿病の治療に有効であるという報告が増え、広く使われるようになった。歴史が古い薬剤なので、薬の価格も比較的安い。

「効能・効果」および「用法・用量」の一部変更承認の変更内容

 
効能・効果 インスリン非依存型糖尿病
(ただし、SU剤が効果不十分な場合あるいは副作用等により使用不適当な場合に限る。)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
(1) 食事療法・運動療法のみ
(2) 食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
用法・用量 本剤はSU剤が効果不十分な場合あるいは副作用等により使用不適当な場合にのみ使用すること。
通常、メトホルミン塩酸塩として1日量500mgより開始し、1日2〜3回食後に分割経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、1日最高投与量は750mgとする。
通常、成人にはメトホルミン塩酸塩として1日量500mgより開始し、1日2〜3回食後に分割経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、1日最高投与量は750mgとする。

大日本住友製薬(株)
日本新薬(株)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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