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2008年11月20日
オートファジー:インスリン分泌を高めるタンパク質分解機能
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インスリン分泌に「オートファジー(自食作用)」という機能が深く関わっているという研究成果が発表さ れた。この機能を活性化できれば、2型糖尿病の治療や予防に役立つ可能性 がある。綿田裕孝・順天堂大学准教授(内科・代謝内分泌学)らが、米学術誌「Cell Metabolism」(電子版)に発表した。
研究チームはインスリン分泌の仕組みを調べる中で、「オートファジー」という恒常性維持機能に着目した。オートファジーは細胞内の蛋白質分解(リサイクル)機能と 理解される。その役割は、(1)細胞が自身の蛋白質の一部を分解し、栄養素を自給自足する、(2)細胞内を少しずつ入れ替え、不要な蛋白質などが蓄積しないよう浄化する、と考えられている。
研究では、オートファジーの遺伝子がないマウスは普通のマウスよりインスリンの分泌量が少なく、分泌のタイミングも遅いことを突きとめた。インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が異常に減少することも分かった。また、このマウスに高脂肪食を与えると、高血糖を起こしヒトの2型糖尿病と同様の症状があらわれた。
2型糖尿病の原因のひとつに、インスリンの作用が悪くなる「インスリン抵抗性」が挙げられる。肥満の患者で特にインスリンの働きが悪いことが分かっている。研究チームはオートファジーがインスリンの分泌を助けている可能性があると指摘。「インスリン抵抗性がある場合にオートファジーを適度に活発化できれば、糖尿病の発症を抑制できるのではないか」と話している。
タンパク質分解による細胞・個体機能の制御(文部科学省 科学研究費補助金 特定領域研究)
Cell Metabolism
Cell Metabolism
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所