武田薬品工業は、「第44回欧州糖尿病学会(EASD)」で大規模臨床試験「DIRECT」の結果発表について発表した。
「DIRECT」は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)「ブロプレス」(一般名:カンデサルタン)による、糖尿病網膜症に対する発症予防と進展抑制を検討した大規模臨床試験。30ヵ国、309施設で実施された。結果について医学誌「The Lancet」に掲載される予定だという
。
糖尿病網膜症は先進国の成人の失明の原因の第1位となっている。発症と進展を抑制するために厳密な血糖コントロールと血圧コントロールが求められる。
「DIRECT」は、3つの独立した試験により構成される。血圧と腎
機能が正常範囲にコントロールされた糖尿病患者5,231名を対象に、カンデサルタン32mg投与群とプラセボ投与群を無作為に割り付け、4年以上の期間で比較した。
結果によると、カンデサルタン32mg投与群は、主要評価項目ではプラセボ投与群に比べ有意差は認めらなかったが、1型糖尿病患者の糖尿病網膜症発症を抑制する傾向と、2型糖尿病患者の糖尿病網膜症を改善するという知見が得られた。
1型糖尿病患者1,421人を対象とした試験では、カンデサルタン投与群ではプラセボ投与群に比べ網膜症の発症を18%予防した。糖尿病網膜症のある1型糖尿病患者1,905人では、カンデサルタン投与群とプラセボ投与群で有意差は認められなかった。また、糖尿病網膜症のある2型糖尿病患者1,905人では、カンデサルタン投与群ではプラセボ投与群に対し進展を13%抑制した。
レニン・アンジオテシン系阻害薬による微量アルブミン尿の発症抑制効果についても検討を行ったが、カンデサルタン投与群とプラセボ投与群に有意差は認められなかった。
カンデサルタンは武田薬品工業が創製し、同社とアストラゼネカ社により共同開発された。約90ヵ国で発売されている。
武田薬品工業(株)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所