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2008年07月02日

適度な節食がインスリン抵抗性を改善 糖代謝を解明する研究

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 適度な節食がインスリン抵抗性を改善するために必要となることが、インスリンの働きに関わる蛋白質の働きを解明した研究で裏付けられた。
 窪田直人・東京大学准教授(糖尿病・代謝内科)らの研究チームが行ったマウスの実験によるもので、米代謝学誌「Cell Metabolism」に2日付で発表された。

 脂肪の多い食事のとりすぎや運動不足などの生活習慣が続き、体の脂肪が増えると、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病を引き起こし、動脈硬化やメタボリックシンドロームにつながる。

 インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞内に取り入れエネルギーとして利用する際に必要となるが、食後に肝臓でブドウ糖から脂肪をつくり蓄積させたり、肝臓での糖新生を抑制する作用もあることが知られている。糖尿病の治療として、インスリンの作用を受ける体の感受性が悪くなり血糖が下がりにくくなる「インスリン抵抗性」を改善することが求められるが、代謝のメカニズムでまだ分かっていないことも多い。

 肝臓の「IRS1」と「IRS2」という蛋白質はインスリン受容体基質で、インスリンの働きを仲介していると考えられている。研究ではIRS2が欠損したマウスを調べ、節食を続けるとIRS2が増え、食後に急速に減少することをつきとめられた。IRS2がインスリンの働きを促し糖新生を抑制するとみられている。血糖降下薬やインスリンによる薬物療法を始めると、脂肪肝や肥満が引き起こされることがあるが、IRS2の作用を高める薬剤を開発すれば、高血糖の治療を行いやすくなる可能性があるという

Cell Metabolism, Vol 8, 49-64, 02 July 2008

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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