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2008年06月11日

病気や薬の副作用と関係する遺伝子 理研とJSTが35疾患のDNA情報公開

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 理化学研究所と科学技術振興機構(JST)は、糖尿病や動脈硬化症など35疾患の患者集団それぞれ約200人から得たSNPの遺伝子型頻度情報をインターネット上で公開した。

 対象となる35疾患は、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、心不全、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、脳梗塞など。個々の遺伝子暗号の違いを元に病因をあきらかにし、個人に最適な治療法を提供するオーダーメード医療の実現や、新薬開発などにつなげたい考えだ。

 病気のなりやすさには個人差がある。経験的に「体質の違い」として説明されることが多いが、遺伝子研究の発達で、この差異は遺伝子が情報伝達の暗号文字としてもっている4種類の塩基について、その並び方がひとつでも違う「SNP(スニップ、一塩基多型)」があると起きることが分かってきた。

 SNPは、DNA配列中に見られる多型のうちもっともよくみられ、病気のなりやすさや薬剤の反応性に関連する遺伝子をみつけるときに有用な多型マーカーとなる。SNPは遺伝子産物の質や量に影響を与え、特定の病気や薬の副作用の危険性が増すことがある。多くのSNPを解明することで、病気に関連する遺伝子の同定や、例えば薬による副作用を避け別の薬を処方するといった副作用を避ける診断方法の確立に役立てられる。

 病気のなりやすさと遺伝子との関係を調べる場合、患者集団と健常者集団の遺伝子配列を比較することが多い。理研ゲノム医科学センターが解析した35疾患の患者から得たDNAの塩基配列情報を国内外の研究者に提供し、病気や薬の副作用と関係する遺伝子が次々と特定されることを期待している。

独立行政法人理化学研究所
  がんや心臓疾患、脳障害など35疾患のSNP頻度情報を公開
JSNPs Home(A database of Japanese Single Nucleotide Polymorphisms)

関連情報
遺伝子情報をもとに体質に応じた生活習慣改善

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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