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2008年06月13日

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健診の検査値で腎臓機能がわかる推算式 日本腎臓学会

新たな腎臓機能の評価推算式「eGFR式」
 日本腎臓学会は、5月30日から6月1日に福岡で開催された「第51回日本腎臓学会学術総会」で、腎臓機能を評価するための新たな推算式「eGFR式」を発表した。

 この推算式は、腎臓がどれくらい機能しているかを評価・推定するための数式。従来は米国人向けにつくられた「MDRD」という方式の計算式に、日本人係数をかけて腎機能の評価を行っていた

 より精度を上げるために、日本人独自の新たな計算式をつくる必要があるとして、同学会内に特別プロジェクト「日本人のGFR推算式」を結成し、1年かけて作成に取り組んだ。

健康診断の検査値から簡便にわかる
 日本慢性腎臓病対策協議会の一般・患者向けページで、腎機能のチェックを簡単にできる。健康診断や血液検査の項目である「血清クレアチニン(Cr)値」から判定する。

腎機能をチェックしましょう(GFR値の自動換算)
(日本慢性腎臓病対策協議会)

社団法人日本腎臓学会
 医療現場で簡便に使える「eGFR男女・年齢別早見表」をダウンロードできる。
 推算式は、血液検査の項目の一つである血清クレアチニンの数値と、年齢を代入し、腎臓が何%機能しているかを推定する仕組みになっている

 クレアチニンは血液中の老廃物のひとつで、通常であれば腎臓でろ過され、ほとんどが尿中に排出される。しかし、腎機能が低下していると、尿中に排出されずに血液中に蓄積されてしまう。

 クレアチニン値をもとに、年齢や性別による筋肉量を考慮して判定すると、より正確な評価ができると考えられている。同じクレアチニン値であっても、新しい推算式では、例えば20歳男性と70歳男性とでは、20歳男性ではeGFR 82.1(mL/分/1.73m²)(健康に問題ない軽度の腎障害)と判定されても、70歳男性ではeGFR 57.3(mL/分/1.73m²)(中程度の腎機能低下)といったように評価が変わってくる。推算式を使うことで、より細やかな正確な判定ができるという。

慢性腎臓病(CKD)の推定患者数は約1,330万人
 日本腎臓学会の調査によると、現在の日本人の慢性腎臓病(CKD)患者数は約1,330万人と推定される。日本人の10人に1人以上が罹患している、ありふれた病気になっている。

「日本慢性腎臓病対策協議会」は慢性腎臓病への注意を呼びかける啓発活動をしている。

j-ckdi.jp
 CKDは、3カ月以上にわたって尿蛋白などの腎障害が続くか、血液検査で腎機能をあらわすGFR値が60未満である場合に診断される。大部分で病気がかなり進行するまで自覚症状が出ないので厄介だ。

 CKDのある人は、透析や移植が必要となる腎不全の発症リスクが高くなるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中など心血管障害を発症するリスクも高くなる。CKDになりやすいのは、糖尿病、高血圧、メタボリックシンドローム、家族に腎臓病の人がいるなど、いずれかが該当する人。脂質異常症(高脂血症)、肥満なども要因となる。

 重大な健康障害をもたらす病気だが、糖尿病や高血圧の治療を通院しながらしっかり続け、肥満対策や運動などの生活習慣を改善すれば予防できると考えられている

 また、定期的に尿検査や血液検査を受けて、早期発見し治療することも重要だ。検尿や血液検査で異常が出ているときは、クレアチニンクリアランスや尿中アルブミン排泄量といった医師の検査を受ける必要がでてくる。

 日本腎臓学会では「新しいeGFR式の導入によって、患者さんの腎臓機能を簡便かつ今までより正確に評価できるようになります。患者さん自らが、健診結果などから、自分の正確な腎臓機能を推定することができるため、式を利用できるWebサイトなどで積極的に自分の腎臓機能を把握して、腎臓に対する意識を高くもってもらいたい」と述べている。

尿中アルブミン排泄量の検査
 早期の腎症を発見するために、もっとも有効なのは尿中アルブミン排泄量の検査だ。この検査は、非常に微量の蛋白(アルブミン)を、感度の良い方法で尿から調べる検査法。検査を受ける人にとっては、一般の尿検査の方法と変わらない。
 尿中に出てくる蛋白質(尿蛋白)のなかで、アルブミンは腎臓が正常な場合にはほとんど尿には出てこないが、特に糖尿病が原因となる腎臓病になると、腎臓の機能が低下し尿中にアルブミンが出るようになる。
 健康保険では尿中アルブミン検査が認められるのは、糖尿病腎症のみになっている。

 糖尿病性腎症の予防や検査、治療について、下記ページで解説している。
糖尿病セミナー-糖尿病による腎臓の病気

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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