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2008年05月22日
肥満は食料問題や地球温暖化にも影響 英研究
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肥満や過体重の人口が増えるにつれ、食料だけでなく、食料の輸送に使う石油などの燃料もよく多く必要となるという研究を、英ロンドン大学の衛生学・熱帯医学の研究チームが発表した。5月17日発行の医学誌「ランセット」に掲載された。
結果として温室効果ガスの排出や、大気汚染など、環境悪化につながるおそれもあるという。
肥満の人が毎日消費する基礎エネルギーは約1,680kcalで、身体活動に約1,280kcalを使っている。これは標準体重の人より18%多い。研究者らは「標準体重の人は肥満の人に比べ食べる量が少なく、乗用車を使わず歩く頻度が高い傾向があるので、農業で使われる燃料や交通の量はより少なくなる」と指摘している。
乗用車の利用が増え、歩く頻度が減り過食が増えると、肥満はますます増える。そうなると食料の需要量はさらに増え、燃料や食料の価格にも影響する可能性があるという。
「肥満を減らすことで、食料と燃料の需要を減らすことができる。ウォーキングやサイクリングを奨励し、肥満指数(BMI)の正常分布を促し、輸送に使う燃料を縮小するための政策が必要だ」。
世界保健機関(WHO)は、60億人の世界人口のうち、16億人が過体重で、4億人以上が肥満と概算している。2015年までに成人の過体重は23億人に、肥満は7億人以上に増えると予測している。
ロンドン大学衛生学・熱帯医学(英文)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所