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2008年05月14日

外食メニューのカロリー表示と禁煙支援 ニューヨーク市

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 米ニューヨーク市は先月21日から、15以上の店舗を全米で展開しているレストランチェーンに対し、レギュラーのメニューのカロリー表示を義務付ける条例を発効した。ニューヨーク市の約2万3,000店のレストランのうち1割が対象になるとみられている。
15万人以上の肥満を予防
 個人の体格や年齢、運動量によって違うが、米国の成人が1日に必要なエネルギー量はおよそ2,000kcal。からだが必要するより多いエネルギーを食事でとると体重が増加し、肥満、2型糖尿病、心臓病の発症が増える。


ニューヨーク市のホームページ
 同市保健局は「食事でとるエネルギー量を過小評価し、過剰に摂取している人が多い。1日に100kcalを余計にとっただけでも、年間で10ポンド(約4.5kg)も体重が増える」として、「市民が食事について健全な選択をできように情報を提供をすることが求められている」と発表した

 外食のメニューにカロリー表示しただけでも「5年間に15万人以上の市民が肥満になるのを防ぎ、3万人以上が糖尿病や生活習慣病を予防できる」と期待している

 この条例に対し、ニューヨーク州レストラン協会は違憲として訴えていたが、同市の発表によると、連邦地裁は16日にこの訴えを退けた。「カロリーを表示し消費者に栄養の情報を提供することと肥満の低減には合理的な関連がある」というのが判決の理由だ

 カロリー表示を行わなかった場合は2,000ドル(約20万円)以下の罰金が科されることになるが、この制度を定着させることを優先し、6月までは猶予期間を設けるという。

禁煙補助剤で禁煙促進
 喫煙による健康被害も深刻であり、ニューヨーク市は禁煙促進も力を入れている。たばこ税を増税し、飲食店を含むさまざまな公共の場で喫煙を禁止し、禁煙を希望する市民に対して禁煙補助剤のニコチンパッチの配布を行っている。

 同市保健局の発表によると「喫煙者の割合は2002年以降は急速に下がったが、まだ100万人以上のニューヨーカーがたばこを吸っている。たばこが原因で毎年8,000人が亡くなっており、たばこを吸わない人に比べ喫煙者の寿命は約14年短い」としている。

 18歳以上の市民を対象にニコチンパッチやガムを無料で提供するというこのプログラムに、4月29日の発表によると1万5,000人以上の市民が登録したという。プログラムでは、6週間の取り組み期間中に徐々に使用量を減らしていき、電話で相談できる専用ダイヤルを設け、禁煙を支援する。市内に無料でカウンセリングや治療を行なうクリニックも設置する。

 ニコチンパッチやガムは禁煙の成功率を2倍以上に高めるとして、同市は禁煙希望者に下記のアドバイスをしている。

  1. 準備をしましょう
    禁煙する理由のリストを作っておき、喫煙の誘惑にかられたときに見ましょう。
  2. 禁煙する日付を記録しましょう。
    灰皿、ライター、たばこを全て捨てましょう。
  3. 自宅と車を禁煙にしましょう
    禁煙はあなた以外の人にとっても健康的です。
  4. 支援と促進
    すでに禁煙している家族、友人、同僚に禁煙の意志を伝え、助けを得ましょう。
  5. 禁煙仲間をつくる
    いっしょに禁煙に挑戦する友人や、すでに禁煙している友人をつくり、話しかけましょう。
ニューヨーク市(プレスリリース・英文)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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