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2008年03月14日

膵ベータ細胞を保護する分子を同定 新たな治療法の開発

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 東北大大学院医学系研究科の石原寿光講師(分子代謝病態学)と、岡芳知教授(同)らの研究グループは、膵臓のベータ細胞をオーバーワークから保護し糖尿病発症を防ぐメカニズムを解明したと発表した。

 2型糖尿病は、インスリンの分泌が低下したり、インスリンの作用が不足することで高血糖になり発症する。過食や運動不足などでオーバーワークが何年も続くと、ベータ細胞が疲弊しインスリンの分泌量が低下する。日本人はもともとインスリンを分泌する能力が欧米人より低い傾向があり、肥満でなくても発症する人は多い

 研究グループは、ベータ細胞に負担やストレスがかかると「4E-BP1」と呼ばれる分子が作られ、ベータ細胞の蛋白合成を全体的に抑え、オーバーワークが続かないようにブレーキをかけていることを突きとめた。

 糖尿病マウスのベータ細胞に、4E-BP1が増えていることに着目し、4E-BP1を欠損させたマウスと通常のマウスを高脂肪食で24週間飼育し、血糖値や膵臓のインスリン量を比較した。欠損マウスではベータ細胞が減少し、糖尿病が重症化した。

 4E-BP1を増やす薬剤を開発できれば、ベータ細胞を長持ちさせ、糖尿病の発症や悪化を防ぐことができる。グループはこの研究を発展させれば「糖尿病の有効な治療薬を開発できる」と期待している。

 この研究成果は、米国科学誌「Cell Metabolism」3月5日号に発表された

Cell Metabolism(概要・英文)

このページの記事は東北大学大学院医学系研究科が2月28日付で発表したプレスリリースを元にしています。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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