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2008年01月20日

脂肪をとりすぎても太らない? インスリン受容体のメカニズムを解明

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 細胞内に脂肪をためるのを促す作用のある蛋白質を、春日雅人・神戸大学大学院糖尿病・代謝・消化器腎臓内科教授らがマウス実験で特定し、米医学誌「Nature Medicine」電子版に発表した

 筋や脂肪細胞などの細胞膜にあるインスリンと結合する部分を「インスリン受容体(IR)」という。インスリン受容体にインスリンが結合することで、血液中のブドウ糖(グルコース)がその細胞に取り込まれる。細胞膜にあるグルコーストランスポーターが、ブドウ糖の取込みを調節するシグナル伝達に作用する。細胞内のインスリン受容体基質である蛋白質「IRS-1」などは、このシグナル伝達で大切な役割をもっている。

 研究では、内臓肥満の要因となる白色脂肪細胞で、インスリン受容体にある「チロシンキナーゼ-1(Dok1)」と呼ばれる蛋白質に着目した。チロシンキナーゼを活性化するとIRS-1がリン酸化される。これまでブドウ糖の取込み調節のシグナル伝達に関わっていることは分かっていたが、その役割は詳しく分かっていなかった。

 ハツカネズミに脂肪の多い食事を与えると、Dok1のはたらきを抑えたハツカネズミは、脂肪細胞が大きくならず肥満が抑制されることが確かめられた。通常の食事では太り方に差がないが脂肪分を増やすと、正常なマウスに比べ体重が20%以上減少した。また、耐糖能やインスリン感受性も改善されていた

 今回の発見が将来に、新しい肥満や糖尿病の治療法の開発につながる可能性がある

Nature Medicine(英文・概要)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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