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2007年06月28日

注射のいらないインスリン製剤の研究 米国糖尿病学会で発表

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 “厳格な血糖コントロールが合併症を予防する”と考えられており、2型糖尿病ではよりよい血糖コントロールを実現するために、早期にインスリン療法を始めることは重要と考えられている。しかし、患者のなかには自己注射によるインスリン投与に抵抗感をもつ人も少なくなく、必要があっても結果としてインスリン療法の開始が遅れることも多い。

 現在さまざまなインスリン製剤の開発が進められており、そのなかには、注射を使わない患者の負担の少ないインスリン製剤もある。

吸入インスリン製剤の臨床試験
 ファイザー社は、さきほど開催された第67回米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会で、世界初の吸入インスリン「Exubera®」についての臨床試験の中間解析結果を発表した。

 この臨床試験は、インスリン療法を行っている成人の2型糖尿病患者627名を、成人の1型糖尿病580名を対象に3年間行われている。

 これらの試験で、Exubera®で治療を行った患者の血糖コントロールが維持され、3年間の体重増がインスリン注射療法を行った患者群よりも少ないことがわかったとしている。治療中に肺機能の若干の平均値低下がみられたが、Exubera®を中止した期間に回復した。

 Exubera®は注射のいらない世界初の吸入インスリン製剤で、食前に携帯型の吸入器を使って口から吸い込む。肺から取り込まれたインスリンは血流に送り込まれ血糖値を調整する。

 すでに米国では、成人の1型と2型糖尿病患者の治療薬として承認されている。1型糖尿病ではExubera®に加え注射によるインスリン投与が必要となり、2型糖尿病でもその必要がある場合がある。欧州諸国でも承認されている。日本では第3相試験を実施中。

経口インスリン製剤の第2相試験
 英Diabetology社は、経口インスリン製剤「Capsulin」の2型糖尿病16人を対象とした第2相試験で、良好な結果が得られたと、第67回米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会で発表した。

 インスリンはアミノ酸が連なってできているペプチドホルモンであり蛋白質なので消化管で吸収される。経口インスリンの開発を数社が進めているが、実用化は難しいといわれていた。

 Diabetology社は、インスリンを安定化剤などを封入したカプセルで包む新しい技術を開発し、胃液による消化を防ぎ生体吸収性を高めるのに成功したという。インスリンの投与単位数は少ないが、試験では朝食と夕食の前に毎日2度服用することで、2型糖尿病の血糖コントロールに効果が得られた。

 経口インスリンについて今後も慎重な研究が必要としながらも、実用化できれば糖尿病治療において新たな選択肢が増えると期待している。

 糖尿病の治療薬の進歩は目覚しく、特にインスリンでは、より生理的なインスリン分泌に近づけた製剤が開発され、注入器や注射針にも改良が加えられ、治療をより安全に容易に行えるようになっている。

 新しいタイプのインスリン製剤が治療に使われるようになると、患者のライフスタイルに合わせた治療法を選べるようになり、治療の満足度が向上する可能性がある。

詳しくはファイザー株式会社のサイトへ(プレスリリース)
詳しくはDiabetology社のサイトへ(プレスリリース・英文)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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