世界的に2型糖尿病が急増しており、世界の医療体制をおびやかしているの受け、世界の158の国や地域が加入している国際糖尿病連合(IDF)は、「2型糖尿病予防についての合意声明」を発表した。
この声明は、4月にスペインのバルセロナで開催された前糖尿病とメタボリックシンドロームについての国際会議でIDFが発表し、発行している医学誌「糖尿病医学(Diabetic Medicine)」の5月号に掲載された。
「昨年12月に実現した国連決議は、人類の歴史上もっとも手ごわい糖尿病という病気との戦いにおける大きな勝利です」と合意声明の共著者であるポール ジメット・国際糖尿病研究所所長教授は話している。
「毎年400万人近くが糖尿病が原因で亡くなっています。糖尿病の現在の有病者数は現在2億4,600万人で、2025年に3億8,000万人に増えると予測しています。糖尿病が各国の医療経済にとって重い負担になりま
す」。
「2型糖尿病は予防ができます。そのために個人が生活習慣を改善しやすい環境を整備することが必要であり、政府は対策をしなければなりません。私たちは糖尿病についての国連決議を支持し、全ての人を対象に糖尿病
予防国家プラン(National Diabetes Prevention Plans)を計画し実施します」。
今回のIDFの合意声明は、医師、看護師、薬剤師らによる健康診査や、自己検診によって、2型糖尿病の発症リスクの高い人を見つけだし予防することを奨励している。そして、2型糖尿病の予防にまず有効なのが生活習慣の改善であると主張してい
る。
IDFの前会長で合意声明の共著者であるジョージ アルベルティ教授は「生活習慣を改善し、体重を適切に管理し、運動を習慣として行うことで、2型糖尿病の発症を予防できることが、米国、フィンランド、中国、インド、そして日本での研究調査で確かめられました」と強
調。
また、生活習慣の改善に加えて、行動や食事、運動のパターンに与える環境の影響が大きいことも指摘している。
「政府は都市開発によって、不用意に糖尿病の増加に寄与してしまったのかもしれない」と話すのはアビィ フリードマン・マックギル大学建築学部教授。
「都市には建築、歩道、自動車道、公共交通路、運動場、気軽に運動できる場所が不可欠です。人々が健康的な生活を維持するために、そうしたものに親しみやすい街づくりを進めることが重要です」。
糖尿病予防国家プランでは、健康、教育、スポーツ、農業などのすべての方面を横断した総合的な政策の変更が望まれる。それらは文化的にわかりやすく、社会のあらゆる部門に関わる目標でなければならな
い。
アルベルティ教授は「すでに糖尿病による社会負担は重大です。医療や医薬品にもっと多くのお金を使うか、生活習慣改善による予防に投資するかは政府が決定します」と続け
る。
ジメット教授は「糖尿病がより深刻な問題になるのはを防ぐために、糖尿病の
予防と治療についての京都(議定書)のような合意は、世界の政府間で必要です」と述べている。
国際糖尿病連合(IDF)(リリース・英文)
IDF Consensus on Type 2 Diabetes Prevention(2型糖尿病予防についての合意)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所