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2007年03月27日

高コレステロール血症治療薬が初期の動脈硬化に有効

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 早期の動脈硬化病変をもつ患者に対し、高コレステロール血症治療薬「クレストール」(一般名:ロスバスタチン)を2年にわたり投与した結果、アテローム性動脈硬化症*の進行を抑えることができたという海外の大規模臨床試験の結果が発表された。

 この試験は「METEOR(Measuring Effects on intima media Thickness: an Evaluation Of Rosuvastatin)」と呼ばれ、冠動脈疾患の発症リスクが低く、頸動脈壁肥厚による初期のアテローム性動脈硬化を伴う高コレステロール血症患者984名を対象に行われた。

 クレストール40mgを2年にわたり服用してもらい、頸動脈エコーを用いて頸動脈の動脈硬化を調べ、ブラセボ群282人と比較した。その結果、ブラセボ群ではアテローム性動脈硬化の有意な進展が認められたが、クレストール投与群では有意な進展がみられなかった。

 これに先立ち行われた冠動脈疾患の発症リスクが高い患者を対象とした「ASTEROID試験」と合わせて、アテローム性動脈硬化の初期の病変から高度な病変まで、ロスバスタチンの治療効果が認められたとしている。

詳しくはアストラゼネカ(株)のサイトへ(プレスリリース)
詳しくは塩野義製薬(株)のサイトへ(プレスリリース/PDFファイル)

*アテローム性動脈硬化

 大動脈や脳動脈、冠動脈などの太い血管の内膜に、コレステロールなどの脂肪からなるドロドロの粥状物質(アテローム)がたまって粥腫(プラーク)という塊が形成される。プラークが蓄積すると動脈の内腔が狭くなり、心臓や脳などに血液が流れにくくなる。

 動脈硬化が起きても、血管断面積のほとんどが塞がれるまで、自覚症状がないことが多い。しかも血管内にできるプラークは、ある程度まで大きくなると突然破裂し一挙に血栓を作り、血管内部を塞ぐことがある。

 これにより心臓では心筋梗塞が起こり、脳では脳卒中が起こる。元気な人が突然、脳梗塞や心筋梗塞の発作に見舞われてしまうことがあるのはこのため。アテローム性動脈硬化は、世界の死因の第1位である心血管疾患の主因となる深刻な疾患。

関連情報
糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞(糖尿病セミナー)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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