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2007年02月26日

特定保健指導のプログラムがほぼ確定 厚労省検討会

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 厚生労働省は19日、「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会」を開き、2008年度から実施される特定健診・保健指導について、健診項目を決定した。
 前回の検討会(1月10日)で見直し案を大筋で了承されており、これで標準プログラムがほぼ決まったとみられる。

 プログラムの目的は、生活習慣病の有病者や予備群を早期に見つけ、適切に保健指導を行うこと。そのためにメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の考え方を取り入れ、メタボリックシンドロームの判定基準に適合しない場合も、生活習慣改善の必要があれば保健指導を行うのが望ましいとされている

 そこで保健指導の対象者をリスク要因の数によってレベル設定する方法が必要となる。今回の見直しでは、(1)健診、(2)保健指導対象者のレベル設定、(3)保健指導・受診勧奨の判定値が論点となった。

 暫定版と比べた主な変更点や内容は以下の通り

血糖検査はHbA1c検査を推奨
 糖尿病について、血液検査は血糖(空腹時または随時)の検査だけでは正確に把握できないので、HbA1c検査を実施するのが望ましいとされた。
(1)過去1〜2カ月の平均血糖値を反映するHbA1c検査が有用。
(2)HbA1c検査を行えば、血糖検査を実施する必要はない。
(3)HbA1c検査ができない場合は、空腹時血糖値を推奨。

 暫定版では、血糖値(空腹時または随時)とHbA1cの検査を両方実施することになっていたが、HbA1c検査は高価であり、健診費用を考慮し柔軟性をもたせた。

尿糖検査も実施
 尿糖検査と尿蛋白検査を実施することになった。
 尿糖検査は血糖検査の補完として、尿蛋白検査は腎機能障害を調べるために実施する

 尿検査は暫定版では、基本項目に含めない方向で検討されていたが、日本腎臓学会などから「発見が遅れ、慢性腎臓病や透析患者の増加を招きかねない」と反発が強く、血液検査を補完するために必要と見直された。ただし血清クレアチニン検査は除外する。尿蛋白検査の方が、腎機能障害を調べるのに有効だと考えられた。

保健指導対象者の選定方法
 質問票によって、対象者は階層化される。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した質問票により発症リスクが判定され、リスク内容に応じて支援レベルが決められる。
 修正版ではリスク判定する項目として 「血糖」「脂質」「血圧」に、「喫煙」が追加された。
(1)血糖
a 空腹時血糖 100mg/dL以上
または
b HbA1cの場合 5.2%以上
または
c 薬物治療を受けている場合
(2)脂質
a 中性脂肪 150mg/dL以上
または
b HDL-コレステロール 40mg/dL未満
または
c 薬物治療を受けている場合
(3)血圧
a 収縮期 130mmHg以上
または
b 拡張期85mmHg以上
または
c 薬剤治療を受けている場合
(4)質問票
喫煙歴の有無
(1)(4)のリスクのうち、追加リスクが
 2以上の人は積極的支援レベル
 1の人は動機づけ支援レベル
 0の人は情報提供レベル

 空腹時血糖値については、日本糖尿病学会のワーキンググループ委員(座長:門脇孝・東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科学教授)により、下限値を100mg/dLにした方が良いと提言された。空腹時血糖値が100mg/dLを超えると、糖尿病の発症リスクが2倍以上になるという。

 HbA1cについては、空腹時血糖値に良く相関しており、空腹時血糖値が100mg/dL以上あるとHbA1cが5.2%になることが多いので、下限値は5.2%をとるのが適当とされた。

健診結果の通知
項目 受診勧奨判定値
血圧(収縮期)
血圧(拡張期)
トリグリセライド
HDL-C
LDL-C
空腹時血糖
HbA1c
AST
ALT
y-GTP
ヘモグロビン値
140mmHg
90mmHg
300mg/dL
34mg/dL
140mg/dL
126mg/dL
6.1%
61IU/L 37℃
61IU/L 37℃
101IU/L 37℃
12.0(男性)g/dL
11.0(女性)g/dL
 健診の結果を元に、右の表に示す判定基準に当てはまる人は医療機関での受診を奨励する。そのときに、受診者の検査値をみて機械的に判定するのではなく、医師が検査結果の意味、異常の程度、年齢を考慮した上で、受診者に伝えることが大切

 軽度の高血圧(収縮期 140-159mmHg、拡張期 90-99mmHg)などであれば、すぐに薬物療法を始めるより、まず生活習慣の改善を行うことが一般的。

 特定保健指導の対象となった人には、健診機関の医師の判断により、まず保健指導を行い、効果がみられなければ、必要に応じて受診勧奨を行うのが望ましい。

●詳しくは厚生労働省のサイトへ
 第5回標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

関連情報
特定保健指導の概要がほぼ固まる 厚生労働省

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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