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2006年12月20日

体重を増やさず血糖コントロールを改善 持続型溶解インスリン「デテミル」

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 デンマークのノボ ノルディスク社は、南アフリカのケープタウンで開催された国際糖尿病連合(IDF)の総会で、持続型溶解インスリンアナログ製剤インスリン デテミル(海外販売名:Levemir®)の試験について発表した。
 インスリン デテミルの1日1回投与が、2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善し、低血糖リスクを減少させ、体重を減少させることを示す新しいデータが、「PREDICTIVE」試験の結果からあきらかになったという。

 「PREDICTIVE」試験は、インスリン デテミルの安全性と有効性を評価する大規模な試験。世界20ヵ国以上から3万5,000人を超える若年と成人の1型・2型糖尿病患者が参加している。

 経口糖尿病薬による治療を行っておりインスリン療法の経験のない2型糖尿病患者2,377例を対象に14週間の試験が行われた。試験に参加した患者に、試験参加と同時にインスリン デテミルの投与を開始し、それまでに治療を行っていた経口糖尿病薬を併用するかどうかは主治医の臨床上の判断に委ねられた。82%がインスリン デテミルを1日1回投与した。

 14週後に血糖コントロールが改善したことがあきらかになった。平均HbA1c値は3カ月間で8.9%から7.6%に改善していた。インスリン療法を行うと低血糖が起こりやすくなる可能性があり、糖尿病患者とって懸念のひとつとなっているが、インスリン デテミルの注射を始めてから4週間に低血糖が起こった頻度は、試験前4週間より減ったことも確かめられた。

 さらに、インスリン デテミルを投与した患者では、14週間後に体重がベースライン時と比較して0.7kg減った。体重減少は試験参加時の体重がより多い患者で顕著にみられた。例えば、BMI指数が27〜29で肥満と判定された患者の体重は平均0.56kg減少したのに対し、BMI指数が31以上で高度肥満と判定された患者では1.51kg減少した。

 インスリン デテミルは持続型溶解インスリンアナログ製剤で、からだに必要な基礎インスリンを補う作用がある。1日1回の投与で使用でき、作用時間は最大24時間。他のインスリン製剤による治療では治療の開始後に体重が増えることがあるが、インスリン デテミルは体重増加を伴わないという特徴がある。すでに米国、欧州など世界50カ国以上で治療が行われている。日本では承認申請中。

ノボ ノルディスク ファーマ(株)(プレスリリース)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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