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2006年11月06日
世界の20億人以上が肥満か太り過ぎ 途上国や子供でも増加
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「肥満は、国や地域で差はあるが、いまや全世界的に広がっている」、「肥満の増加は将来的に健康や医療の問題を引き起こし、重大な経済的脅威となる」―世界保健機構 (WHO)が肥満について、こんな調査結果を発表した。
世界中で肥満が増加している
- 60億人の世界人口のうち、16億人が過体重で、4億人以上が肥満。
- 2015年までに23億人が過体重になり、7億人以上が肥満になると予測され
る。 - 世界の5歳以下の子供のうち、2,200万人以上が太り過ぎ。
肥満の程度による日本とWHO基準の比較
BMI(ボディーマスインデックス)は、肥満の程度を表す指標。日本肥満学会の基準ではBMI25以上を肥満と判定するが、WHOの判定基準ではBMI30以上を肥満と判定し、25.0以上30.0未満だとOverweight(過体重)と判定する。 BMIが22になるのが、最も病気になる確率が低い理想体重とされる。
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肥満は途上国でも増加
肥満や過体重の問題は、これまでは先進国を中心に取り上げられることが多かったが、いまや途上国の所得が少ない層にも波及しており、特に都市部でこの傾向が強い。
WHOの調査によると、例えば中国では7歳から17歳の子供の20%以上に肥満がみられ、肥満者の数は全体では6,000万人以上に、糖尿病患者数は約2,300万人以上に増加した。欧米諸国で定着している生活習慣や食事などが、途上国でも急増しはじめていることが一因と考えられている。
途上国で共通してみられる傾向として、次のことが挙げられている。
- 栄養摂取の傾向として、エネルギーに変わりやすい単糖類(ブドウ糖、果糖など)や二糖類(砂糖など)、脂肪が増え、ビタミンやミネラルが少なくなっている。
- 産業化や都市化が進み自動車などが普及し、交通手段が変化した結果、運動量が減少している。
肥満が引き起こす問題
肥満は健康上の重大な問題を引き起こすおそれがある。肥満は次の慢性的な病気の主な危険因子となる。
可能性 が高まるという報告もある。
- 心疾患(特に心臓病や脳卒中)
死因として最も多く毎年1,700万人が亡くなっている。 - 糖尿病
2型糖尿病は全世界的に急速に広まっており、WHOは糖尿病で亡くなる人は今後10年で50%以上増えるだろうと予測している。
子供の肥満も急増
今回の発表では、子供の肥満も増えていることが強調された。国際肥満学会(IASO)や国際糖尿病連合(IDF)などが参加している「International Task Force on Obesity(IOTF)」の調査によると、世界の5歳以下の子供では2,200万人以上が、学齢期の子供では1億5,500万人が太り過ぎだという。
欧州連合(EU)では、12歳以下で太り過ぎの子供は1,400万人にのぼり、毎年50万人ずつ数が増えているという。また、米国連邦政府の調査によると、米国では6歳から19歳の未成年者の間で、肥満の割合が1980年から2002年で3倍に拡大した。
途上国でも子供の肥満は増えている。例えば、WHOの調査によるとタイでは5歳から12歳の子供の重度の肥満の割合は2年間で12.2%から15.6%に上昇した。砂糖や脂肪、塩分が多く含まれる食事や運動不足など、欧米諸国で定着した生活習慣が途上国でも急増しており、子供の肥満にも影響していると考えられている。
肥満対策として何をやればよいか
肥満や肥満によってひきおこされる2型糖尿病などの病気は、正しい知識をもち対策をすれば、大部分が予防
肥満の予防 対策
- エネルギー摂取量を適度に管理する。
- 脂肪のとり過ぎを抑える。
- 飽和脂肪(悪玉)よりも、不飽和脂肪(善玉)をとるようにする。一般的に、動物性脂肪は飽和脂肪酸が多く、植物性脂肪は不飽和脂肪酸が多い。
- 野菜と果物を適度にとる。
- 大豆や豆類、ナッツ類を適度にとる。
- 小麦の殻(表皮)には、食物繊維、鉄分、ミネラル、ビタミンなどの栄養素が含まれる。精製した小麦よりも、全粒粉の小麦が勧められる。
- 運動量を増やす。毎日30分間ぐらいの適度な運動を習慣として行う。
●詳しくは世界保健
Obesity and overweight
●詳しくはIOTF(International Obesity Taskforce)のサイトへ(英文)
Preventing childhood obesity
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所