糖尿病「ねほり はほり」

2006年08月28日

高血圧は積極的に治療する

 糖尿病の患者さんの血圧は、血糖値と同じくらい、治療上重要と考えています。診察時には毎回必ず血圧をはかります。

 高血圧は遺伝的素因がとても強いので、糖尿病とわかった時点で血圧が高ければ、一般的には糖尿病になるかなり以前から、持続的かどうかは別にして高い状態があったと考えるべきでしょう。子供の頃から高かった人もいるはずです。

起床時の最高血圧130mmHg以下が目標

 私は高血圧治療が糖尿病腎症の予防にとても重要だと考えており、血圧の高い患者さんには積極的に抗高血圧薬を使います。

 診察室で130〜140mmHg位の人はできるだけ起床時の自己血圧測定を勧めます。起床時の最高血圧(収縮期血圧)が130mmHgを超えていれば、塩分制限をお願いし、抗高血圧薬の使用を考えます。そして、起床時の最高血圧が130mmHg以下に保たれることを目標にします。

 ときどき患者さんに「ふらふらする」などといわれることがありますが 私は、血圧測定値の目標達成には手を緩めません。もちろん糖尿病の神経障害のある方は起立性低血圧が起こり気を失うことがあるので注意します。これはテストするとわかります。頚動脈狭窄が強度の方も注意します。頸動脈雑音は必ず聞くようにしています。これ以外の場合はかなりがんばっても大丈夫と思っています。もちろん高齢者は注意します。

 血圧の下がり過ぎを心配する方もおられますが、私は著しく血管の硬い方や高齢者でない限り、抗高血圧薬だけで血圧が下がり過ぎ、障害が起こることはないと考えています。尿たんぱく(+)の方にはこのような対応をして、(−)にもっていくようにします。

血圧の測定

 血圧の高い方や高いかもしれない方、尿たんぱく(+)の方には、家庭用の血圧計を使って、朝起床時の血圧測定をしてもらいます。健康保険の適応はないですが、血圧計も比較的安価になりましたし、家族全員で使うことにして初期投資をお願いします。枕元に血圧計を置いておき、朝目覚めたらまず血圧測定することを勧めます。

抗高血圧薬

 血圧を下げる薬を用いるときは、種類によらず、まず最少量から始め血圧の下がり方をみながら徐々に増量すうようにします。

 抗高血圧薬は何を選択するかというのは曰く言い難いですが、私の場合を少しお話します。

  • Ca拮抗剤は効き目が強いので特に強力に下げたい患者さんには使います。最近はロングアクティングの薬もありますから使いやすいですね。夜寝る前にまず少量から処方し起床時の血圧をチェックしてもらいます。
  • ARBを積極的に用います。特に尿蛋白が(±)を示す例にはファーストチョイスにしています。
  • ACE阻害薬は副作用で咳が出やすくなりますが、結果的にこれが気管支や咽頭の刺激に対する反射能を高め、気道分泌物の排出を促進して肺炎の発生が少なくなるとされています。一部の製品ではそれを薬効に明記していますが、これはACE阻害薬そのものが持っている性質です。そんな訳で私は特に高齢者でACE阻害薬をよく使います。

注意したい抗高血圧薬の中断、まとめ飲み

 患者さんには血圧がさがりはじめると服用をやめてしまう人がいますが、血圧が下がっても必ず使い続けるように日頃からお話しするようにしています。

 もうひとつ、血圧の薬は飲み忘れた分をまとめて飲むのは絶対いけません。もし、忘れてしまったらその分を次回分とまとめ飲みはせず、忘れてしまった分は飲まないで次回から規則正しい服用に戻るようにします。

血圧が下がらない

 抗高血圧薬を2つも3つも併用しても血圧下がらない人は、特に腎障害の進行してしまった方におられます。このような例は高血圧腎の専門家に協力を依頼します。

 私には苦い思い出があります。「隠れ高血圧」といいたいような方が結局腎臓を悪くされてしまったことがありました。診察時はいつも130mmHgとか135mmHgとかで、冬期にはちょっと140mmHgということもあり、薬を増やすのが嫌いな方でしたがやはり抗高血圧薬を使おうかと思っているうちに、気温が上がってくると前記の状態に戻るという調子でした。おそらく、日中の診療時には比較的血圧が低く、夜間から早朝に高かったのではないかと思います。そして、ある時尿タンパクが出はじめ、はっきり血圧が上がり始めたら、もういくら抗高血圧薬を使っても効きませんでした。こんなこともあり、私は糖尿病患者さんの高血圧をできるだけ早期から見つけ、きちんと下げることを心がけるようになりました。

[ DM-NET ]

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

Copyright ©1996-2020 soshinsha. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
治療や療養についてかかりつけの医師や医療スタッフにご相談ください。

このページの
TOPへ ▲