糖尿病「ねほり はほり」

2006年07月21日

再診以降のフォローアップ

 私は通常、初診の方は2週間後に再診しますが、再診でもかなり「ねほりはほり」尋ねます。でも、私の知識も経験も所詮わずかなもので、いろいろ生活についてお尋ねしても結局よくわからないでしまうことも多いですね。いずれにしても、治療初期には患者さんの実行していることと医者が期待していることにはかなりギャップがあることが多く、それを一つずつ解決していくうちに、徐々に血糖値や血圧値が下がってくるのが一般的な経過です。

運 動

 再診(2回目)では、まず運動ができたかどうか聞きます。あまり無理はいいません。運動ができない理由も、運動への取り組みも人によって千差万別です。「1日中職場で動いていますが」といって運動は足りていると考えている人にも、1日10分でもしっかり歩いて下さいとお願いします。ともかく、その人が継続できる運動スタイルにたどり着けるようにフォローします。

 とくに膝や腰が痛いという人には、筋力をつけてそれに対処し、少しでも運動量をふやすことができるように繰り返しお願いします。息が切れる、胸部圧迫感があれば胸部エックス線、負荷ECGなどでチェックしますが、対話のなかで心肺のトラブルを見つけることもできます。

 血糖値の改善が見られない人には少し様子を見て一息入れてから、再度運動を強化する方が効果のあることが多いですね。

食 事

 食事に関しては「初診で説明しただけで全てうまくいったら」こんな簡単なことはないです。大変難しいのが普通です。ともかく手を緩めないで患者さんの食べた物を一つ一つ調べます。聞いているうち、「おせんべいはカロリーがないと思っていました」とか「家の柿は美味しいです。カラスにやってしまうのももったいないので・・・」とか、「テレビで某キャスターがピーナッツは体にいいといったから毎食手のひら一杯分ピーナッツを食べています」とか、「食事というと三度の食事だけと思ったので,食間や寝る前は制限なく」なんていう話まであります。

 それぞれの家庭の食事スタイルは急には変えられないですから、その家庭の食事を栄養士さんに聞きとって貰い、少しずつ直していくというのが一般的ではないでしょうか。基本的には野菜を増やす、油をへらす、塩分をへらすという工夫をお願いします。言うなれば「ホームメード」の改善をはかることです。

 また炭水化物が多いと血糖値が上がると、たんぱく質を多めにとるような方がおられますが、食事の内容のバランスを良くすることが大切です。

 栄養指導で献立をただ押しつけるのは簡単ですが、かえってその患者さんが来院しなくなったりすることがあるように思います。

薬物療法

 運動量が上がり食事が改善されると大抵の人は検査値が良くなってきますが、一部の人は運動療法と食事療法では間にあわず薬を使います。このような方でも経過がよく食事療法と運動療法だけに戻る方もありますが、多くの方は継続使用になっていきます。

 私の場合は大体SU薬をごく少量から始めることが多いです。ごくまれですが、SU薬にセンシティブな人がいて小量でも低血糖気味になり、SU薬をやめざるを得ないこともあります。

 SU薬では、グリメピリド(アマリール)なら1mgの錠剤半錠0.5mg/日、グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)なら1.25mgの錠剤を半錠0.625mg/日、グリクラジド(グリミクロンHA20mg錠を半錠10mg/日)あたりにします。

 ビグアナイドは、肥り気味でメタボリックシンドロームを思わせる場合などに、500mg/日程度を単独あるいは併用でも使うこともあります。腎機能が低下していないことをチェックします。 αグルコシダーゼ阻害薬などは、私は単独ではあまり使いません、SU薬などに重ねて使うことがあります。

投薬量は少な目に

 以上のように、投与量を少な目にしておけば、ひどい低血糖の心配も少なくなります。ともかく、これでもだめこれでもだめと、どんどんSU薬の量が増えていくケースが一番恐いです。薬物療法についてはまたあらためて話しましょう。

 私は患者さんと同じ目線で話すように心がけていますが、無闇に迎合するのではなく一線を画すことも必要だと思っています。患者さんの気持ちをつかむのは、魚釣りのようなもので、引いた感じがあったときにキュとあわせるという感じですかね。お互いの言葉と内容が一致したときと思います。

 このごろは看護師さんや栄養士さんが患者さんとの話に積極的に取り組んでもらえるようになりましたし、医師の方々も、それぞれやり方が少しづつ違っていてもとても上手にやっておられる方が多いと思います。糖尿病療養指導士の活躍も期待しています。

 私も若い頃は必ずしも患者さんの心理をうまくつかんだり、生活の場を想像したりしながら治療することができなかったのですが、いろいろ指導を先輩からまた患者さんから受けて経験を積み、40年以上かかってやっと患者さんに迷惑をかけない程度になってきたのです。

[ DM-NET ]

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