糖尿病食事療法用宅配食で自宅入院

2007年07月02日

自宅入院体験談 (2)

松下順子さん  食べることが好きで太ってしまい、単品ダイエットをしてはリバウンドを繰り返していました。 健康診断で「肥満は病気、このままでは糖尿病などの生活習慣病になってしまいますよ」と言われ、真剣に減量を考えました。大野先生の肥満外来に通いながら、自分にあった減量法を試行錯誤していたとき、「食事については、入院したと思って糖尿病宅配食を使ってみては?」とアドバイスをいただき、2001年に自宅入院をスタートさせました。スタート時には、身長149cmで62.9kgだった体重も、2004年には51.7kgまで減り、今でも51kg前後を維持しています。大野先生からは、「減量した体重を5年間維持したら、自分の体になる」と言われ、昨年それをクリアしました。

 でも、私はずっと宅配食を利用し続けたわけではありません。お金もかかりますし、自分でも料理をするので、利用は2週間から1カ月間といった短い期間です。2年間目標体重になるまで、ある程度減量ができたら一旦中止して、また少し体重が増えてきたら利用するという方法をとりました。いつまでも宅配食に頼っていては、本当の意味での食事の改善にはならないので、食事の量、味の勘を取り戻すために宅配食を利用しました。

 宅配食の量や味は、それまでの食事と大きく違います。ですが、私の場合ははじめから、「これは治療のための病院食だから」と割り切っていたので、抵抗はありませんでした。また、脂肪肝気味だった主人を「二人で健康になろうよ」と誘い、一緒に自宅入院をしてもらいました。食事制限にも運動にも、二人で取り組んだことが成功のカギだったと思います。でも、さすがに主人は、はじめの頃宅配食を見ては、「ボリュームが少ないよ」と笑っていました。

自宅入院前後  また、自宅入院では、宅配食以外の食事をどうするかも大切だと思います。平日の朝夕に宅配食を利用していたので、私のお昼はカロリー控えめの、そばや玄米パンでしたが、主人は仕事があるので外で好きなものを食べていました。配達が休みの土日は、外食や自分で工夫したカロリー控えめな料理を作りました。

 特に自分で作るときは、宅配食を参考にして作ります。そのとき活躍するのが、料理が入っていた容器です。この容器を参考にすることで、量の目安を簡単につけることができます。他にも、塩分量などが書いてあるメニューブックを味付けの参考にしていました。この容器やメニューブックは、健康になった今でも重宝しています。

 私の自宅入院の成功は、大野先生のアドバイス、私の努力、主人の協力の、三人四脚だと思っています。特に、信頼している大野先生に「よくがんばっているね」とほめてもらえたことが、大きな励みになりました。今は九州に住んでいるので、頻繁に大野先生に会うことはできませんが、また体重が増えてしまい、先生をがっかりさせてしまうことがないようにと、毎日食事、運動に気を使っています。やっぱり、周りの人の協力や励ましが、自宅入院成功には欠かせないと思います。

■松下さんの体重、体脂肪量、総コレステロール、中性脂肪の推移(身長:149cm)

【大野先生からのコメント】

 松下さんは「民間ダイエット法の生き字引」のような方で、さまざまな「お手軽ダイエット」を体験されていました。しかし、成功とリバウンドを繰り返す「ウエイト・サイクリング」という悪循環に陥っていました。そこで、まずは「気長に根気よくダイエットに取り組む」よう覚悟を決めていただきました。
 食事療法については、栄養士が作成した本格治療食を自宅で食べて、知識を整理し直してもらいました。松下さんは、1回に2〜4週程度の自宅入院を、季節の変わり目毎に実施され、四季折々の献立と成分表を集め、半年もしない内にご自分で糖尿病治療食を作れるまでになりました。このように、宅配食は「勉強用ツール」としても利用価値が高いと思います。
 また、忘れてはならないのは、ご主人の献身的な協力です。松下さんのご主人は、いやな顔もせずに宅配治療食に付き合い、しかも「ナイト・ウォーク」と称した近所の公園での散歩に付き合ってくれたそうです。このような、家族や周囲からの協力はきわめて重要です。
 今は九州にお住まいですが、年に1〜2回上京された折に私の外来へ顔をみせて下さります。お顔を拝見して、いろいろな体験談をお聞きするのを楽しみにしています。

もくじ

わたしの自宅入院

宅配食アンケート

[ DM-NET ]

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

Copyright ©1996-2024 soshinsha. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
治療や療養についてかかりつけの医師や医療スタッフにご相談ください。

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲