糖尿病セミナー

26. 食事療法のコツ(3)
腎症のある人の食事

2016年12月 改訂

ステップ3 食品交換のルール

 腎症の食品交換は、糖尿病の食事療法の交換ルールに、表1、表3、表5のたんぱく質量区分の制限が加わりますが、同じ表、同じ区分の食品は自由に交換できます。
 例えば、表3のあじ開き干し1枚(40g)は、ローストビーフ(40g)と交換できます。同じ表3のB区分の1単位だからです。しかし、C区分のたら1切れ(100g)とは、表や単位数が同じでも交換できません。
 区分を越えて交換しようとして、食品の重量を無理に調整すると、たとえたんぱく質量は調整できたとしても、エネルギー量(単位数)に過不足が生じてしまいます。区分を越えての交換は、栄養士に相談してからにしましょう。また、表3には食塩や動物性脂肪が多い食品もありますので、偏りをなくし、できるだけ多くの食品を選ぶことが大切です。

ステップ4 献立の工夫と注意点

低たんぱく質食品の利用

 たんぱく制限をすると、通常の食品だけでは指示エネルギー量を満たすのが難しいことがあります。そんな患者さんのために、たんぱく質含量を減らしたり、たんぱく質がわずかしか含まれていない食品が開発されています。
 腎症の交換表では、これらの低たんぱく質食品のうち、主食として使える食品を表1の「治療用特殊食品」として、主食以外でエネルギー補給用に使う食品を「エネルギー調整食品」としてまとめています。。
治療用特殊食品
 治療用特殊食品には、通常の食品と同じ重量(単位数)で、たんぱく質を半分以下に減らしたごはんやパン、めん、でんぷん製品、小麦粉などがあります。
 たんぱく質の摂取量が少なくなるほど治療用特殊食品の使用が望ましく、8〜11単位使用すれば、表1では通常の食パンやじゃがいもなどB区分の食品を使えるようになります。また、表3のC区分の食品を使用できたり、表3自体への配分を多くすることもできて、変化に富んだ料理を楽しめます。
エネルギー調整食品
 エネルギー調整食品には、ゼリー類や油が練り込まれた菓子、清涼飲料水、くだものの缶詰、ジャム、あめなどがあります。
 治療用特殊食品やエネルギー調整食品は、医師や栄養士の指導を受けて、上手に食事療法に取り入れてください。

食塩・カリウムの制限には

 腎症の交換表では、1単位中の食塩含量が記載されていて、特に1単位あたり食塩が1g以上の食品にマークがついています。また、1単位あたりのカリウムが300mg以上の食品にはマーク、500mg以上の食品にはマークがついています。
 食塩・カリウム制限がある人は、これらの数値や記号に注意しましょう。カリウムは水に溶けるので、野菜を水にさらす、煮ものの煮汁を捨てるなどの工夫で、ある程度減らすことができます。

このほか、右下の表のように、糖尿病の食事療法と異なる点がいくつかありますので、気をつけましょう。

減塩のポイント

漬物は控え目に
汁ものの量は少なく
かけしょうゆより付けしょうゆ
 (調味料は小皿にとって
しょうゆをポン酢に替える
食酢や柑橘類などの酸味を利用する
新鮮な材料を使う
香辛料を上手に使う
油を使って料理する
 (油の使用はエネルギー量確保にも役立つ
加工食品を減らす
 (加工食品は一般に塩分が多い)
焼き味、こげ味をつける
料理の全体ではなく、表面に味をつける
うまみを利用する
できたてを食べる(料理は適温で
献立にめりはりをつける
 (食塩は一品に集中して使い、あとは無塩で)


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