糖尿病セミナー
26. 食事療法のコツ(3)
腎症のある人の食事
2016年12月 改訂
腎症の食事療法のポイント
腎症のための食事療法を、できるだけ簡単に日常生活に取り入れられるよう、実際的な方法を解説したものに、「糖尿病腎症の食品交換表 第3版」(編著者:一般社団法人日本糖尿病学会、発行所:株式会社文光堂)があります。これは、腎症の進行防止のため、食事療法の切り替えがより重要になる段階「第3期(顕性腎症期)」(次の表参照)に適した内容です。「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」(編著者:一般社団法人日本糖尿病学会、発行所:文光堂)と同じ方式で作られていますので、それまで食品交換表を使った食事療法に慣れ親しんできた人は、スムーズに腎症の食事療法に切り替えることができます。ここでは、「糖尿病腎症の食品交換表(以下、腎症の交換表と略します)」を使った食事療法のポイントを紹介しましょう。
※食品の分類や単位計算、交換の仕組みなどの基本は「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」と同じなので、詳しい解説は省略します。このコーナーの「食事療法のコツ(1)―基礎―」のページをご覧ください。
ステップ1 適切なエネルギー量とたんぱく質量を知る
まず、あなたが1日に必要なエネルギー量を、医師に決めてもらいます(指示エネルギー量)。これは糖尿病の食事療法の最も基本的なことで、腎症の食事療法でも変わりません。 指示エネルギー量は患者さんの体格や活動状況、腎症の進み具合などを総合的に判断し決められます。同じように、たんぱく質も「1日何グラム」と指示されます(指示たんぱく質量)。指示エネルギー量や指示たんぱく質量は、腎症の進行に合わせて、少しずつ変化します。
糖尿病腎症の病期別食事療法の目安
総エネルギーの単位は体重(実際の体重ではなく、標準体重)1kgあたりのキロカロリー、第3期以降のたんぱく質の単位は標準体重1kgあたりのグラム数。(「厚生省糖尿病調査研究報告書」他から引用し、まとめなおしたもの)
ステップ2 単位の配分を知る
次に、指示エネルギー量と指示たんぱく質量を守り、たんぱく質以外の栄養も過不足なく摂るために、表1〜表6の各表から何単位ずつ摂ればよいのかを把握します。腎症の交換表は、たんぱく質の含有量によって、表1と表3がA〜C、表5がA〜Bの区分に分けられています。たんぱく質量は、A→B→Cの順で、Cが一番多くなります(右の囲み記事参照)。
例えば1 日1840キロカロリー(23単位)、たんぱく質50グラムの場合、下の表の左側のように配分します。
23単位は、表1に13単位(A区分9単位、B区分4単位)、表2に1単位、表3に2単位(A区分0.5単位、B区分1.5単位)、表4に1単位、表5のA区分に4単位、表6に1.2単位、調味料に0.8単位というように振り分けます(これ以降、この単位配分を例に解説していきます)。
1日の単位配分がわかったら、次はそれを朝食、昼食、夕食、および間食に分けます。表1は、A区分を朝食に1単位、昼食と夕食に各4単位、B区分を朝食に3単位、夕食と間食に各0.5単位とします。表3、表5、表6も3食なるべく均等に配分します。表2、表4は、3食または間食として配分します。それぞれの食事の単位数に、あまり差が生じないようにしましょう。調味料は、その日の献立にあわせて使い分けます。
単位をどのように配分すればよいかは、一般には医師や栄養士が、それぞれの患者さんの食習慣などを参考に決めて、患者さんに指示します。
たんぱく質量のA〜C区分
1単位あたりのたんぱく質量は、表1のAは1.9g以下、Bは2.0〜3.9g、Cは4.0g以上、表3のAは5.9g以下、Bは6.0〜11.9g、Cは12.0g以上、表5のAは1.9g以下、Bは2.0g以上です。
なお、腎症の交換表には表1・表3・表5以外の食品にも、1単位あたりのたんぱく質量が記されていますので、参考にしましょう。
1単位あたりのたんぱく質量は、表1のAは1.9g以下、Bは2.0〜3.9g、Cは4.0g以上、表3のAは5.9g以下、Bは6.0〜11.9g、Cは12.0g以上、表5のAは1.9g以下、Bは2.0g以上です。
なお、腎症の交換表には表1・表3・表5以外の食品にも、1単位あたりのたんぱく質量が記されていますので、参考にしましょう。
食事指示票 1日23単位 1840kcal たんぱく質50gの場合
日本糖尿病学会編・著『糖尿病腎症の食品交換表 第3版』19頁、日本糖尿病協会・文光堂 2016年発行)より引用日本糖尿病学会編・著『糖尿病腎症の食品交換表』に関する記載・記述については、一般社団法人日本糖尿病学会の引用許可を得ています。
転用などを行う場合は必ず、該当する部分のデータあるいはプリントアウトを添付するなどして、同学会の引用許可を得てください。
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