25. 糖尿病と感染症

2016年9月 改訂

感染症にかかったときの注意事項

 糖尿病の人が、感染症など糖尿病以外の病気にかかったときは、シックデイといい、特別な対処が必要になります。

血糖値が上昇します

 病気になると、血糖値を上げるアドレナリンなどのストレスホルモンやサイトカインが分泌されます。糖尿病でない人は、その分泌にあわせてインスリンも多く分泌されますが、糖尿病の人はインスリンの追加分泌ができないため、血糖値がいつもより上昇してきます。病気の程度により差がありますが、一般に血糖値は30パーセントは上昇するといわれています。

自己判断で薬物療法を中止しない

 病気になり、食事の量がいつもより少なくなったからといって、糖尿病の経口薬の服用やインスリン注射を、患者さん自身の判断で中止するのはとても危険です。病気により血糖値が高くなっているのに加え、薬を中止することで血糖値が極端に高くなり、ケトーシス(血液の酸性化)が起き、昏睡に陥ることもあります。
 薬の量をどう調節するかは、あらかじめ主治医の指示「シックデイルール」を受けて、それに沿って判断します。
    ※シックデイルール=病日対処法 詳しくは、このコーナーの「病気になった時の対策」のページをご覧ください。

早めに診察を受けましょう

 軽いかぜなどの感染症なら、一日二日、安静にしてようすをみるのもよいでしょう。しかし、食事がとれない、下痢が続く、回復する気配がない、薬の量の判断ができないといった状況なら、早めに診察を受けてください。ふだんインスリン注射をしていない人でも、容態によっては、一時的にインスリン注射が必要な場合もあります。

水分を多くとり、炭水化物とビタミンを十分に

 発熱や下痢をしている場合は、脱水状態にならないように、水分を多くとることが大切です。また、食欲がないときも、おかゆなどの消化吸収のよいものを食べ、炭水化物を十分とるようにしましょう。
 免疫反応を高めるビタミンCは、感染症からの回復を助けます。くだものや野菜類を多くとってください。

運動療法は一時控え、適切な時期に再開

 病気のときの運動は、心臓血管系や呼吸器系に多くの負担がかかりますので、運動療法は中止します。
 ただ、病気の回復期に適度の運動をすると、完治するまでずっと安静にしているのに比べて治癒が早まります。医師の指示を受け、適切な時期に軽い運動から再開しましょう。

栄養をつけるためといって食べ過ぎない

 よく、かぜをひいたらカロリーのあるものをたくさん食べて、抵抗力をつけたほうがよいといいます。しかし、いつもと同じ食事ができるのならそれでよく、とくに多く食べる必要はありません。

    手強い病原菌には抗生物質で反撃

     感染症は、体内に侵入した細菌類が増殖して悪さを働く病気です。ですからその治療は、病原菌を殺菌することが目的となります。
     そのための手段として、まず考えられるのは、からだの抵抗力を高めることです。安静にし、温かくすることで、からだがもっている本来の抵抗力が高まります。しかし、これで対応できるのは軽い感染症のとき。からだの抵抗力が弱っているときは、別の手段を用いる必要があります。そこで登場するのが抗生物質です。
     抗生物質は何種類ものタイプがあり、目標となる病原菌にあわせて使い分けられます。糖尿病の人の感染症治療では、抗生物質が必要なことが多くなります。

健康的な生活で感染症を予防しましょう

  感染症予防の基本は、できるだけ健康的な生活を維持し、ふだんから細菌類に対する抵抗力をつけておくことです。例えば、からだをよく動かすこと。運動により血流がよくなると、細胞の修復機能が高まり、抵抗力が強くなります。食生活については、指示エネルギー量を守ることはもちろんですが、栄養バランスにも気を配り、正しい食事療法をめざしましょう。
 そして、最も重要なのは血糖コントロール。感染症のかかりやすさも、血糖値の高さと、血糖値が高かった期間の長さに影響されます。より良い血糖コントロールを続けることが、感染症予防に一番効果があります。

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