糖尿病セミナー

23. 口の中の健康

2011年8月 改訂

治療を受ける際に

糖尿病であることを歯科医に伝えましょう

 歯科を受診する際には、ご自身が糖尿病であることを伝えてください。血糖値が高いと感染症にかかりやすので、出血を伴いやすい歯科治療では、治療前後に抗生物質が必要なこともあります。極端な高血糖状態では、まず血糖コントロールを良くする必要があり、積極的な歯科治療はできません。
 また糖尿病で薬物療法をしている人は、服用している薬やインスリンの種類と量を必ず伝えてください。抜歯や歯肉の手術治療の際には、治療後しばらく食事ができなくなるので、薬物療法をしている人では低血糖に注意する必要があるからです。このような場合、歯科医は糖尿病の主治医に連絡をとってから治療しますが、患者さん自身も、あらかじめ主治医に相談しておくようにしましょう。

生涯、自分の歯で食べるためにために

 80歳になったときに自分の歯が20本は残っているようにしようという「8020〈ハチマルニマル〉運動」は、みなさんもご存じのことと思います。この運動は高齢者対象の啓発活動のような印象を受けますが、実は主人公は若い世代なのです。それは、糖尿病が高齢者に多い病気なのに、その原因が好ましくない生活習慣にあるため、予防には若いうちからの生活習慣の改善が必要なことに似ています。歯は突然抜け落ちるのではなく、長期間、歯を大切にしなかったことが、歯が抜けやすい条件をそろえてしまうのです。実際に歯周病がある人は、19歳前後ですでに50パーセントに達しているのです。
 自分の歯があればこそ、楽しい食事や楽しい会話ができます。また、力強く噛むことは脳へ刺激を与え、体全体によい影響を及ぼします。より充実した人生のために、歯が果たす役割は、小さなものではありません。
 糖尿病がある人は、口の中の健康に、より気を配らなくてはいけないのは事実ですが、正しい歯磨き、定期的な検査、そしてより良い血糖コントロールを守れば、生涯自分の歯を守ることができます。歯の大切さ、糖尿病と歯の相互関係をよく理解して、いつまでも自分の歯で食べられるようにしましょう。

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