糖尿病セミナー
17. 足の手入れ
2015年7月 改訂
足を守るために
足の病気で困らないようにするには、予防が一番です。血糖コントロールによる糖尿病そのものの治療はもちろんですが、次のような点に日頃から気をつけましょう。1. 毎日こまめに足のチェックを
寝る前などに、毎日明るい場所で足をよくみましょう。足の裏側は手鏡にうつしてみたり、目の悪い方は、周りの人にみてもらいましょう。2. 入浴時のポイント
おふろに入るときには、次のような点に注意しましょう。(1)湯ぶねに入る前には、必ず手で湯加減を確かめる。神経障害があると足は熱さに鈍くなっていて、熱い湯でも気付かずにヤケドをすることも
(2)やわらかいタオルやスポンジで、足の裏やゆびの間もていねいに洗う
(3)足がふやけるほどの長ぶろはダメ。ふやけた皮膚は傷つきやすい
(4)入浴後は水分をしっかりふきとり、クリームを塗って、皮膚が乾燥しないように
3. 爪の手入れも大切
神経障害が進んでいると、爪が伸びていたり割れていたり、さらには巻き爪がくいこんでいても、違和感や痛みを感じません。伸びた爪はケガのもとですので、こまめに手入れをしましょう。硬くて切りにくい爪は、無理に自分で切らずに医師や看護師に処置してもらいましょう。また、深爪をしないように注意が必要です。こんなことにも要注意
動脈硬化から壊疽に動脈硬化は、糖尿病による合併症のなかでも特に重要な疾患で、血流障害の原因ともなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすことが知られています。動脈硬化は足の血管にも発症します。歩くとふくらはぎが痛み、休憩すると痛みがとれるといった症状(間欠性跛行〈かんけつせいはこう〉)は要注意。足の動脈が細くなっていて、十分な酸素が送られていない可能性があります。放っておくと壊疽に進展することもあります。早めに医師にみてもらってください。
足の変形に気をつけて
神経障害が進むと、足が変形することがあります。これは、感覚が鈍くなっていて、不自然な歩き方でも気付かずに違和感なく歩けてしまうため、徐々に骨が変形してしまうためです。変形した足のままでは転びやすくなり、ケガや骨折を招きます。足が不自然な形をしていないかもチェックしましょう。
爪のみず虫も軽視できない
爪のみず虫は皮膚のみず虫と違ってかゆみがないばかりか、見た目ではわからないこともあります。しかし、放置すると爪が厚くなり手入れをしにくくなります。また、変形したり割れやすくなって、ケガのもとにもなります。ですから症状がなくても軽視せずに治療を続けましょう。
日常生活での注意点
足の手入れを習慣づけるとともに、普段から次のようなことに気をつけましょう。1. 足にやさしい靴を選ぶ
靴が足にフィットしていないと、靴ずれを起こしたり、血管を圧迫したりします。また、蒸〈む〉れやすい材質のものだと、みず虫ができやすくなります。足の病気の予防にとって、靴選びは大切なポイントです。
★靴の選び方、履き方のポイント
●足全体にフィットし、つま先がゆったりしたものを選ぶ
●ハイヒールなど、一カ所に体重がかかるものは避ける
●靴底にクッションのある、ウォーキングタイプがよい
●一日の中で最も足が大きくなる夕方を基準にサイズを選ぶ
●新しい靴は、最初から長時間履かずに、徐々に慣らしていく
●靴を履く前には、小石など異物が入っていないかをチェックする
●足全体にフィットし、つま先がゆったりしたものを選ぶ
●ハイヒールなど、一カ所に体重がかかるものは避ける
●靴底にクッションのある、ウォーキングタイプがよい
●一日の中で最も足が大きくなる夕方を基準にサイズを選ぶ
●新しい靴は、最初から長時間履かずに、徐々に慣らしていく
●靴を履く前には、小石など異物が入っていないかをチェックする
2. いつも靴下を履くように
★靴下の選び方、履き方のポイント
●通気性のよい綿かウールのものを選ぶ
●足を締めつけ過ぎず、ずれて下がらない、サイズのあったものを履く
●出血に気付きやすい白色のもの
●毎日履き換えて清潔を保つ
●雨水でぬれたときは、早めに履き換える
●通気性のよい綿かウールのものを選ぶ
●足を締めつけ過ぎず、ずれて下がらない、サイズのあったものを履く
●出血に気付きやすい白色のもの
●毎日履き換えて清潔を保つ
●雨水でぬれたときは、早めに履き換える
3. ヤケドを防ぐ!
神経障害により足が冷えることはよくありますが、そんなときは熱さに対しても鈍くなっています。こたつや電気カーペットなどでは、低温ヤケド(低い温度設定でも長時間温めていることでヤケドと同じ状態になる)に十分注意しましょう。また、真夏の海水浴で、砂浜を素足で歩いたり、直射日光にあたり激しい日焼けをするのも危険です。4. 感染・化膿を防ぐ!
汗や汚れをそのまま放置せず、清潔を保ちましょう。雨の日や夏場は特に注意が必要です。ふやけた皮膚は傷つきやすく、そこから感染し化膿したり、あるいはみず虫の原因ともなります。汗はよくふき、靴下は替えましょう。5.禁煙!!
タバコに含まれているニコチンは、血管を収縮させたり傷めたりすることがわかっています。つまり、タバコを吸うことで、血流障害はより悪化するのです。糖尿病になったら、まず禁煙です。コンテンツのトップへ戻る ▶
糖尿病3分間ラーニング 関連動画
糖尿病3分間ラーニングは、糖尿病患者さんがマスターしておきたい糖尿病の知識を、 テーマ別に約3分にまとめた新しいタイプの糖尿病学習用動画です。
- 01. 糖尿病とは「基礎編」
- 02. 食事療法のコツ(1) 基礎
- 03. 運動療法のコツ(1) 基礎
- 04. 高齢者の糖尿病
- 05. インスリン療法(2型糖尿病)
- 06. 血糖自己測定とは
- 06_1. 生活の中にどう生かす血糖自己測定 『生活エンジョイ物語』より
- 07. 肥満と糖尿病
- 08. 小児の糖尿病(1) 基礎
- 09. 薬物療法(経口薬)
- 10. 糖尿病生活Q&A
- 11. 糖尿病用語辞典(より簡潔に)
- 12. 病気になった時の対策 シックデイ・ルール
- 13. 結婚から、妊娠・出産
- 14. 糖尿病による腎臓の病気
- 15. 糖尿病による失明・網膜症
- 15_1. 眼科医からみた失明しないためのアドバイス 『生活エンジョイ物語』より
- 16. 糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞
- 17. 足の手入れ
- 18. 糖尿病による神経障害
- 18_1. 糖尿病からの危険信号神経障害 『生活エンジョイ物語』より
- 19. 糖尿病の検査
- 20. 低血糖
- 21. 食事療法のコツ(2) 外食
- 22. 糖尿病の人の性
- 23. 口の中の健康
- 24. 動脈硬化と糖尿病 メタボリック シンドローム(代謝症候群)
- 25. 糖尿病と感染症
- 26. 食事療法のコツ(3) 腎症のある人の食事
- 27. 糖尿病と高血圧
- 28. 小児の糖尿病(2) 日常生活Q&A
- 29. 運動療法のコツ(2) 合併症のある人の運動
- 30. 骨を丈夫に保つには
- 31. 痛風・高尿酸血症と糖尿病
- 32. 糖尿病予備群
- 33. 小児2型糖尿病
- 34. 糖尿病とストレス うつとの関連、QOLの障害