10. 糖尿病生活Q&A

2016年9月 改訂

Q8 薬の飲み合わせが心配です。

 薬物療法の人が、ほかの病気の治療で薬を飲まなければならない場合、通常の、風邪薬や下痢どめなどの市販薬と飲み合わせる場合は、まず心配ありません。しかし、鎮痛薬の一部で、血糖降下薬の作用を増強するものもありますので、気を付けてください。
 合併症の治療などで複数の医師にかかる場合には、それぞれの医師に服用中の薬を、知らせる必要があります。数ある薬の中には、低血糖の症状をわかりにくくするなど、副作用をもたらす場合があるからです。また、ステロイド薬などは血糖を上昇させるので、必ず血糖測定しながら、経口薬やインスリン量を決める必要があります。

Q9 低血糖の時に、砂糖では効かない薬があるそうですが…。

 薬物療法の人が、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用した時に起こる低血糖の場合は、砂糖ではなく、ぶどう糖を使わないと、回復が遅れることがあります。この薬は、食後の高血糖を抑える作用をもった薬で、ふつうの砂糖の吸収を遅らせるからです。
 しかし、もしぶどう糖を持っていない時に低血糖が起きてしまった場合は、砂糖やコーラ、ジュースなど、手近なものでトライしてください。糖分の吸収は遅れても、最終的には、全部吸収されるようになっています。ですから、低血糖の回復は遅れても、それらが効かないことは、まずありません。
 また、コーラ、ファンタグレープなどには、ぶどう糖が入っているので、回復が早いようです。

Q10 雑誌にあった「糖尿病が治る」という薬を、試したいのですが。

 そうしたふれこみで、じつに多くの民間療法が出回っています。しかし、それらの療法は治療効果の裏付けに乏しく、たとえ効いたとしても、効果は微々たるものです。しかも高価で、だまされたも同然のものが少なくありません。
 本当に効くなら、とうに治療に取り入れているはずです。これらを信じて治療をやめてしまい、症状を悪化させる例がしばしばあるのは、残念です。民間療法に惑わされず、糖尿病と仲良く生きる気持ちをもって、本来の治療に専念してください。

Q11 入浴は、血糖にどんな影響を与えますか?

 入浴は、運動と同じくエネルギーを消費し、血糖を下げます。また、インスリンの注射の後に入浴すると、皮下の体温が上がって、インスリンの吸収が早まり、低血糖を起こす場合があります。注射した周辺をマッサージするような洗い方も、吸収を促進するので注意してください。
 経口薬の場合も、血糖が下がるので、注意が必要です。入浴中の低血糖は発見が遅れやすく、溺れることもあります。空腹時は避け、食後2時間くらいで入浴すれば、まず問題ありません。

Q12 トイレの回数が多く、熟睡できません。

 頻尿になる一番の理由は、高血糖です。糖が水分を伴って、尿として排泄されるために、頻尿や多尿になります。これは、血糖コントロールをよくすれば、自然と改善します。
 ただ、コントロールは悪くないのに頻尿になる場合は、膀胱炎や前立腺肥大、弛緩性膀胱(糖尿病性の自律神経失調症で、膀胱がパンパンに張り、尿が少量ずつしか出ない)が疑われます。これらは高齢者によくみられるものです。

Q13 糖尿病になると、ほかの病気にかかりやすいというのは本当ですか?

 確かに、糖尿病の患者さんには感染症が多く、最近は結核が増えています。コレステロールが原因の胆石に伴った胆のう炎も少なくありません。
 感染症が多いのは、白血球の機能の低下や、高血糖で脱水になりやすいことが、原因です。脱水になると血流が悪化し、末梢まで白血球や酸素が行き渡らなくなり、細菌の繁殖に都合のよい状態になります。
 歯の治療や手術の時も、感染症にかかりやすいので、医師に糖尿病を必ず伝えてください。

Q14 タバコは、なぜいけないのですか?

 タバコは、血管を収縮する作用があります。糖尿病の患者さんは、動脈硬化が進んでいることが多く、タバコの作用が、心筋梗塞や足の壊疽などの病状を促進します。また、肺の感染症も起こしやすいので、まずはタバコをやめるのが、先決です。

Q15 痛みの少ない採血方法があると聞きましたが…。

 細い採血針(30Gや33Gの針)と、穿刺の深さ調節のできる採血器具を組み合わせると、より痛みの少ない方法で、血糖測定に必要な血液量を得ることができます。また、指先ほどは痛点が密集していないといわれる、腕(上腕の外側)や手のひらなどから採血する方法もあります。この場合には、血液を吸引する器具(名称:ファインレット/(株)三和化学研究所)を利用すると、十分な血液量を容易に得られます。

Q16 インスリンの使用ずみ針などの処分は、どうしたらよいですか?

 インスリン注射で使った針の処分は、専用の容器などに入れ、病院で回収してもらうのが一番よい方法です。自宅でゴミとして処分すると、盗まれて麻薬に使われたり、清掃員のケガの原因になるので、注意してください。

Q17 医療費が安くなる場合があると聞きましたが…。

 18歳未満の場合は「小児慢性特定疾病」の対象になり、医療費の自己負担が軽減されます。市区町村の保健所に申請してください。18歳になった時点ですでにこの制度の対象になっている場合は、20歳になるまで延長されます。なお、自己負担額の上限は、所得によって異なります。
 成人の場合は特別な補助はありませんが、糖尿病に必要な治療のほとんどは保険が適用されます。また、もし失明や透析開始、下肢切断などになった場合には、障害の程度などに応じて医療費の助成、介護保険の申請、障害年金の受け取りが可能なことがあります。自治体、日本年金機構にお問合せください。

Q18 海外旅行で、一番気をつけたいことは?

 やはり、ふだん飲んでいる薬やインスリンは、忘れずに身につけておくということでしょう。簡単なことですが、飛行機に乗る時、薬をうっかりスーツケースに入れたまま、預けてしまう失敗はけっこうあるのです。
 また、食事の回数や量が増えてカロリーオーバーになったり、時差の影響などでストレスも増えます。とくに、インスリンの場合は、時差により、注射のタイミングを調整する必要がありますので、事前にその方法の指導を主治医から受けてください。血糖自己測定も必要です。
 経口薬の場合の時差への対応は、1日何錠といった程度に、おおざっぱに考えればよく、それほど神経質になる必要はありません。食事の前に飲むタイプの薬なら、いつもどおり1日3回、毎食前に飲んでください。
 また、糖尿病であることと治療の内容を主治医に英語で簡単に書いてもらい、それを持参すると、何か問題が起きた時に安心です。

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